レンズの直径が小さいので、目だけを動かして
パソコンの画面などを見ると、レンズの範囲から外れる
ここ2ヵ月ほどViXion01を使って気になるところもいくつかある。まずViXion01は眼鏡ではなく、見ているであろう目的の場所にフォーカスしてキャリブレーション後の2つのレンズの厚さをメカニカルに変更してハッキリ見せることが目的の商品だ。今回のモデルでは乱視などの矯正はできない。
ViXion01のレンズの直径は実測では5~6mmくらいと極めて小さいので、首を使わず頭を動かさずに眼球だけを上下左右に動かし、横目や上目使いで対象を見ると、レンズをまったく通さずに目標を見ることになる。当然ながら距離センサーと人間の見ている標的に差が出てくるので、厳密には焦点は合わない。
例として、年間何十万文字もキー入力しているのに、筆者は完全な“ブラインドタッチ入力”ができない。なので目の前に置いたパソコンの画面を真っすぐ見ていると、ViXion01の距離センサーも理解し、レンズから画面までの距離を前提にフォーカスする。
高度近視の筆者は、レンズを通した目の前のディスプレイの文字はよく見えるが、キータッチのためにうつむかずに下目使いで見たときのキートップは、レンズを介さないのでよく見えないという結果になる。高度な近視者の場合なら、眼球だけの下移動ではなく頭全体を下に向けて、距離センサーが正しく動作するようにすることが必須となる。
もちろん解決策は今のViXion01のレンズ径を上目づかいや下目づかいでも大丈夫なように十分に大きくすることだ。同時にViXion01をできる眼球に近づけて配置することだろう。しかしそうすると別のさまざまな課題が出てきそうで簡単ではなさそう。まぶたの開け閉めで充電できる夢の超小型のViXionコンタクトレンズや、白内障の眼内レンズの登場待ちかもしれない。
もう片方の白内障の手術も無事完了
そこでViXion01のさらなる実証実験をしたくなった
そんなわけで、右目の白内障の手術を終えて裸眼で0.4の視力のある片側の眼と手術前で高度近視の0.02程度の左目のときにViXion01を衝動買いして使ったわけだが、左右の視力に大きく差があると矯正はなかなか難しいらしいものの、そんな時期でもViXion01はなかなか健闘し重宝した。
白内障の手術では、濁った水晶体を取り出して、その後に水晶体嚢の中に入れる眼内レンズを、遠近いずれかの単焦点レンズか遠近両用の2焦点レンズ、その拡張系のレンズなどから選ぶことが必要だ。筆者は高校生の頃から近視用の眼鏡をかけ慣れているので、眼鏡をかけることにまったく違和感がない。
加えて眼鏡をかけていない筆者を見た第三者が筆者だとわかるかどうかの方が気掛かりだったので、従来と同じく、遠くを見る必要のあるときは近視用の眼鏡をかける方を選んだ。眼内レンズは単焦点で目の前35~40cmに一番ピントが合うレンズを選んだ。もちろん高度近視の0.02から0.4程度には良くなるので自宅内や昼間の屋外はまったく問題ない。
さて両目の白内障手術が終わり左右ともバランスが取れ、裸眼視力0.4程度に落ち着いてきたので、遠方を見るために近所のJINSに眼鏡を作りに行った。矯正で1.2まで出ることがわかったが、疲れそうなので0.9程度になるようにした。ちなみに今この原稿は裸眼で40㎝くらいの距離にある37インチの大型ディスプレイの中央部分だけにエディターを起動、配置して書いている。
原稿をただディスプレイを見て書くだけなら眼鏡は不要な生活になったが、出先でのモバイルワーキングも含め1日24時間の生活全般を考えれば、遠くもハッキリと見える眼鏡やViXion01があった方が望ましいのは変わりない。
自分なりの実証実験をやってみたくなって、気分を変えて原稿を書きたくなるときにときどき行っている近所のガストに、朝一番に愛用のポメラとViXion01、ポモドーロタイマーの3点を持って出掛けた。その話は次回で!
今回の衝動買い
・アイテム:ViXion「ViXion01」
・購入:ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba
・価格:7万9800円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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