『スター・ウォーズ無法者たち』レビュー

「スター・ウォーズ」の世界に“無法者”という別の視点でドップリ浸かれる！

2024年09月16日 12時00分更新

文● いちえもん編集●八尋／ASCII

『スター・ウォーズ無法者たち』

　これまで発売されてきた「スター・ウォーズ」のゲームは、ジェダイやパダワン、軍人、パイロットなどが主役を務めていた。一部例外があるものの、基本的には「ヒーロー（善人）」が多い印象だ。

　しかし、2024年8月30日に発売されたユービーアイソフトの『スター・ウォーズ無法者たち』は、裏社会を生きる「アウトロー（悪党）」が主役だ。ずる賢さ、コネ、ガンテクニック、操縦テクニック、相棒を武器に、銀河の裏社会を生き抜くストーリーが描かれる。

　別の意味で「ダークサイド」な話だが、従来のスター・ウォーズにはない世界観が筆者の心に強くぶっ刺さった。「遠い昔、はるかかなたの銀河系で悪党になれるなんて最高じゃないか！」……というわけで、この記事では『スター・ウォーズ無法者た』ちのプレイレビューをお届けしたい。

　なお、本作の先行プレイレビュー記事も掲載されているので、こちらもあわせてチェックしてほしい。

『スター・ウォーズ無法者たち』先行プレイ、世界観に浸りながら実は結構シビアなステルスゲーム

スター・ウォーズで悪党ライフ!? 銀河の裏社会を生き抜く、ある悪党のお話

　『スター・ウォーズ無法者たち』の主人公であるケイ・ヴェスは、兵士でもなければ、フォースとライトセーバーを操るジェダイでもない。相棒のニックスとともに、故郷のカント・バイトで裏稼業をしている"アウトロー"なのだ。

　彼女は悪党といえば悪党なのだが、ユーモアとやさしさを兼ね備えているので、完全な悪とは言いづらい魅力がある。なんとかして裏社会で成功したいと夢見ているところが、クライムムービーの主人公らしい。

『スター・ウォーズ無法者たち』の主人公、ケイ・ヴェス。相棒のニックスと一緒に、故郷のカント・バイトでうだつの上がらない日々を過ごしている

　本作の冒頭で、仕事中に予期せぬトラブルに巻き込まれてしまうケイ・ヴェス。その結果、裏社会のトップである犯罪シンジケート「ゼレク・ベシュ」から命を狙われるハメに。

　彼女はゼレク・ベシュの殺し屋から逃げる最中に宇宙船「トレイルブレイザー」を盗み、カント・バイトから銀河へと旅立つ。ここから、ケイ・ヴェスの物語が始まるわけだ。

ケイ・ヴェスはある仕事でトラブルに見舞われ、犯罪シンジケート「ゼレク・ベシュ」に目をつけられてしまう。上記画像の男がゼレク・ベシュのボスであるスリロだ

ゼレク・ベシュの追跡を潜り抜けたケイ・ヴェスは、宇宙船「トレイルブレイザー」を盗んでカント・バイト（惑星カントニカ）から脱出。ここから、ケイ・ヴェスの悪党ライフが始まる

　『スター・ウォーズ無法者たち』の魅力は、銀河を舞台にした悪党ライフを体験できることだ。スター・ウォーズのキャラクターで例えると「ハン・ソロ」に近いだろう。ハン・ソロのような悪党になりきれるコンセプトが本作のセールスポイントといえる。

　スリ行為をはじめ、シンジケートの縄張りや帝国軍の拠点に侵入して盗みを働くなど、悪党らしいゲームプレイが可能だ。もしケイ・ヴェスがジェダイの身分だったら、盗み1つでダークサイド墜ちは確実だろう。

ニックスに指示を出してNPCのアイテムを盗むケイ・ヴェス

重要なアイテムを盗むため、犯罪シンジケートの縄張りや帝国軍の基地に侵入するケイ・ヴェス。敵に見つかったら戦闘になるが、クエストによっては敵に見つかったらゲームオーバーになる場合も

　個人的に興味深いと思ったのが、随所に見受けられるミニゲーム要素だ。リズムに合わせて開錠するピッキングや、正しいパズルを組み合わせるハッキングと、ミニゲーム要素を取り入れた犯罪行為が印象に残っている。

　クライムゲームのピッキングやハッキングは至ってシンプルなので、慣れてしまうと単調になりがちだ。しかし、本作の場合はミニゲームとして飽きずに楽しめるのがいい。単調な作業を面白くしたいという開発者の思いが込められているように感じた。

リズムに合わせてボタンを押すだけのピッキング。電子音とランプの点滅が攻略のカギだ

ランダムに用意されたパネルから正しい組み合わせを見つけるハッキング。パネルの組み合わせはそこまで多くないので、正解のパネルが1個でも見つかれば攻略がラクになる

　本作で体験できる犯罪行為は、ステルス（盗み・侵入）、シューティング（銃撃戦）、リズムゲーム（ピッキング）、パズルゲーム（ハッキングなど）とさまざま。多彩なゲームジャンルが一本のタイトルに凝縮されているため、本作の遊び応えは十分高いといっていいだろう。ある意味、「ゲームの総合デパート」のようなものだ。