「F1 24」
続くF1 24では、画質は“超低”、異方性フィルタリングは16x、アンチエイリアスはTAA&FidelityFXに設定。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。ベンチマークシーンの設定は“モナコ”および“ウエット”としている。
F1 24も平均フレームレートにおいてCounter-Strike 2と似たような傾向が見られる。即ちTDPを下げると徐々に平均フレームレートが下がり、TDP 170W設定でもPPTを230Wに盛ることでわずかではあるが平均フレームレートが上がる。TDP 65W設定でもRyzen 9 7950Xよりフレームレートが出るという点はこれまでの検証と同じだ。
フレームレートの傾向はCounter-Strike 2に似ているが、消費電力の傾向はBlack Myth: Wukongに近い。即ちRyzen 9 7950XはTDP 65W設定の9950Xよりも消費電力が小さい。
「Starfield」
Starfieldは画質プリセット“低”を選択しつつ、レンダースケールはFSR 3“バランス”相当の58%に設定。都市ニューアトランティスのMAST地区を移動する際のフレームレートを計測した。
これまでの検証からStarfieldではゲームなのにCPUパワーを比較的使うと判明している。特にマルチスレッド性能が重要なゲームだ。今回の検証結果においても、PPTの設定を定格より盛ればフレームレートは上がるし、TDPを絞ればフレームレートは下がる。特にTDP 65Wまで絞ると定格設定よりもフレームレートが大きく下がってしまう。ただ65Wに絞ってもなおRyzen 9 7950Xよりフレームレートが出るというのはゲームならではの傾向といえる。
Ryzen 9 7950Xの消費が9950XのTDP 65W設定時を上回っている点に注目。CPU負荷が高めなのでコア数の多いRyzen 9 7950Xはそれなりに電力を消費してしまうが、Zen 5世代のRyzenほどIPCが高くないため、フレームレートはTDP 65W設定のRyzen 9 9950Xに負けてしまうといったところか。
TDP 120Wに絞るもいいが
定格でも電力を使いすぎない絶妙な設定
CPU性能と消費電力・発熱は連動するのは必然であるため、性能を追求すれば必然的に高リスクな領域に踏み込まざるを得なくなる。だがRyzenの場合PPTやTDC、CPU温度といったパラメーターでガッツリと挙動が制限されるため、Ryzen 9 9950Xといえど定格で使う分にはCPUの限界(CPU温度100度など)を攻めるような挙動にはならない。
Ryzen 9 9950Xの場合PPTを200Wに意図的に絞ることで全コアフルロードに近い状況でもCPUの温度限界寸前で止まるような味付けになっている。Ryzen 9 9950Xの消費電力は下位モデルと比較すると確かに大きいが、インテルの第14世代のような“飛び抜けて高い”消費電力ではない。Ryzen 7 7950Xのように温度限界が先に立って性能が落ちないよう注意深くチューニングされたCPUといえる。
定格運用にあたっては簡易水冷の使用が推奨されるが、TDPを105Wや65Wまで絞ることで空冷運用も十分可能なチューニングを選択することもできる。コア数と電力のバランスがとれたCPUが欲しいなら、Ryzen 9 9950Xは理にかなった選択といえる。