TDP 105W以下でCPUの消費電力は大きく下がる
ここからはゲームでの検証に入るが、解像度はフルHDのみ、画質は最低設定、フレームレートの測定はすべて「CapFrameX」で実施、さらにフレームレート測定と同時にPowenetics v2を利用してCPUがベンチマーク中に消費した電力(の平均値)も取得している。
「Black Myth: Wukong」
最初に試すのはBlack Myth: Wukong(黒神話:悟空)だが、無償で配布されているベンチマークツールを使用する。画質は“低”設定とし、レイトレーシングも無効とした。FSR 3は有効だがレンダースケール(RS)はデフォルト設定通り100%とし、フレーム生成は使用していない。ベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
Ryzen 9 9950XはTDP設定に関係なく7950Xのフレームレートを上回った。UL Procyonのスコアー傾向と同様に、TDPを65Wに絞ってもRyzen 9 9950Xは7950Xに対しアドバンテージを出せている。厳密に言えばTDPを65Wまで絞ると平均フレームレートが下がっているように見えるが、定格設定時の平均フレームレートから1fpsも違っていないため、誤差レベルの差でしかない。
ベンチマークにおけるCPUの消費電力はTDP 170Wから105Wまで微妙に下がっているがほぼ横ばい。しかしTDP 65Wまで下げると一気に110W強から90W弱まで一気に下がる。Ryzen 9 7950Xはさらに消費電力が低く70W中盤だが、この場合省電力というよりもCPU性能による仕事量の差がこの結果を生んだと考えられる。
「Counter-Strike 2」
Counter-Strike 2は画質“低”、フレームレート制限は上限である1000fpsに設定。ワークショップマップ「CS2 FPS BENCHMARK」再生中のフレームレートを計測した。
高フレームレートが出るゲームの場合はCPUのパワーがフレームレートの最後の伸びを決めることが多い。Counter-Strike 2もそうしたゲームのひとつだ。今回の検証ではTDP設定が下がるほど平均フレームレートも低くなる傾向があり、特に最低フレームレートは105Wと120Wの間に何か見えない壁があるように見える。そしてここでもシングルスレッド性能に劣るRyzen 9 7950XはTDP 65W設定の9950Xよりもフレームレートが伸びていない。
1つ前の検証とは異なり、ここではRyzen 9 7950Xの消費電力が高く、9950XのTDP 105Wや65W設定の消費電力を超えている。ただCPUの消費電力には限界があり、TDP 120Wより上の設定では消費電力はほぼ変わらない。