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業界人の《ことば》から 第592回

まずは現場を知ること、人事部門出身の社長が続くダイキン

2024年05月27日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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技術者として入社、人事や総務を経て現職

 「自分の力で新しいものを生み出したいという思いがあった」という竹中次期社長は、1986年4月に、技術者として、ダイキン工業に入社した。

 その後、空調生産本部企画部長兼企画部原価企画担当部長などを経て、2009年5月には、23年勤務した工場から離れ、空調営業本部事業戦略室長に就任し、国内空調事業の立て直しに取り組んだ。「惨憺たる状況だった」という当時の国内空調事業の機構改革や、体質改善に挑んだ結果、V字回復を果たし、その後の持続的な事業成長につなげた。

 「このときに、価格に対する大切さ、戦略的価格政策の重要性を身に染みて経験した。また、一人ひとりを動かす難しさや現場主義の大切さ、リーディングカンパニーとして、なにをすべきか、といったことも学んだ」とする。

 2012年 6 月に専任役員SCM担当。2017年6月に常務専任役員に就任。2020年6月には人事、総務担当に就き、2021年6月に専務執行役員に就いた。

 実は、井上会長、十河社長も、人事部門の出身である。

 竹中次期社長は、「4年前に人事部門に異動してから、毎日、2人から指導を受けてきた。人事部門では、いい思い出はまったくない」とジョークを飛ばす。しかし、ここで社長としての経営術を叩き込まれたともいえる。

 十河社長も、竹中次期社長を、人事部門に異動させたのは、将来の社長登用への布石だったことを明かす。

 十河社長は、「人事の仕事は極めて難しい。経営トップには、前面の理、側面の情、背面の恐怖を、バランスよく使い分ける必要があり、その能力があるかを見た。この4年間で、人を見る力があり、人の力を引き出すことができると感じた。これは、人が好きでないとできないことであり、人と交わり、交流することが好きな人物であることがわかった」と、竹中次期社長の人柄を捉える。

 ダイキン工業が掲げる「人を基軸とした経営」を実現するには、人は、なにかを理解しなくてはならないと十河社長は語る。人事部門の経験は、ダイキン工業の経営トップとして、不可欠な経験だといえる。

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