前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第219回
家にある雑誌を並べたら幅7mに! 必要な記事だけブックスキャナー「iOCHOW K2」で読み取るのが快適でした
2024年05月21日 16時00分更新
取材されたメディアの“幅”は7m!?
筆者はマジシャンとして、ややヒットしたようで、これまでにいろいろなメディアに記事にしてもらいました。月刊誌や新聞など、正確な掲載数は数えていません。ある日、掲載紙を倉庫から出して廊下に並べてみたら、なんと幅が7mを超えていました。
といっても、掲載紙のすべてのページに筆者の記事があるわけではありません。掲載ページだけを切り抜けば、きっとスリムになるはず……。
しかし、取材してもらい、クライアントでもある掲載紙を裁断するのもなんだか気が引けます。そこで、デジタル化(PDF化)すれば、すべてが解決できそうな気がしてきました。
選んだのはブック/ドキュメントスキャナー「iOCHOW K2」
前から目をつけていたブック/ドキュメントスキャナーの「iOCHOW K2」。タイムセールになっていたこともあり、3万1760円でAmazon.co.jpで購入。仕事はダラダラと進めるほうですが、新しいガジェットを購入するのは秒速です(笑)。
iOCHOW K2を選んだ理由は、以下の通り。
◯2300万画素と十分な解像度がある。
◯フットスイッチと卓上に置けるハンドスイッチがついている。
◯レーザーによるターゲットライン(センターライン)機能がある。
◯折りたためてコンパクトに収納できる。
大量のページならフラットヘッドスキャナーより便利
机の上に書類や本を置くタイプのスキャナーを使うのは初めてでしたが、今まで使っていたフラッドヘッドスキャナーと比較すると、はるかに作業がはかどります。
フラッドヘッドスキャナーは厚みのある本のページをガラス面に密着させるのが難しく、サイドから光が入ると色の濃い部分がにじむことがあります。しかし、今回購入したiOCHOW K2ならその問題を感じません。
最大A3サイズまで、テーブルの上でスキャンできるのもうれしいところ。コピー機のようにフタがないのは本当に便利!
曲がったり、シワがあったりするページはアクリル板があると便利
平面に開けない頑固な固さの本、折り目やシワがついてしまったページをキレイにスキャンするなら、アクリル板があると便利です。透明な板で本を押さえつけるのです。
しかし、アクリル板を使うにしても、ある程度の重さがないとページを押さえ込めません。ホームセンターで30×45cm、5mm厚のアクリル板を1500円ほどで購入しました。
アプリも使いやすく、買って大満足!
読み込んだ画像の鮮明さやスキャンスピードも問題なく、iOCHOW K2を選んで大満足。製品に付属するアプリ「SCANLINE」も直感的で使いやすい印象です。
データサイズを節約するために解像度を落とすこともできます。カメラの輝度、コントラストやホワイトバランス調整が可能なのも筆者好みです。
PDFで保存すると文字を認識し、テキストデータのレイヤーを作成するのも便利です。ただし、本格的に(画像から文字を抽出する)OCRとして使うには、力不足感があるので、別途OCRを使う必要があるかもしれません。英語ならほぼ100%、日本語だと80%ほどを認識する印象です。
製品には英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、日本語で書かれた厚いマニュアルとmacOS用の英語、日本語のマニュアルの2冊が付属。とてもわかりやすく解説されています。
筆者の目的は、厚さ7mの紙メディアのデジタルデータ化なので、買って大満足でした。
手動でスキャン範囲を決められないのは残念
これからブック/ドキュメントスキャナーを購入する人の参考に、残念だった点を挙げておきます。
●付属するアプリ「SCANLINE」が縦書きの日本語OCRに対応していない。
●macOS版「SCANLINE」には、手動でスキャン範囲を決めるクロッピングの「セルフ設定」機能がない。
いずれも、スキャン後に他のアプリで対応できそうですが、一度のスキャンで文字認識やトリミングなどを完結したい場合は注意が必要かもしれません。
手紙の中身を透視するスパイやマジシャンの話
たぶん……都市伝説かも
最後に、マジシャンらしく、スキャンにまつわるトリックを紹介します。
子どもの頃に読んだ本に、こんなスパイのテクニックが紹介されていました。それは「封がされた手紙の文を、封をあけずに盗み見る方法」です。
タネは単純で、封筒の表面に水やアルコールを少量だけ付けて、封筒を半透明にして中身を見るという手口です。封筒に使われるような白い紙は、濡らすと多少透けるのがその原理だそう。
古いマジックの本にも同様の方法が解説されていることもあります。こちらの場合は、封筒の中の観客がコッソリと書いたメッセージを透視するためのトリックとして紹介されています。
しかし、このトリックは都市伝説(ウソの種明かし)だと、筆者は推測しています。つまり、スパイやマジシャンは他の方法で手紙の中身を“透視”しているのではないでしょうか。
なぜなら、封に使われるノリは水性なら水で、ゴム系であれば熱で簡単に剥がし、中身が簡単に取り出せて読めるからです。
その方法なら、折りたたんで重なった文字を苦労して判読する必要もありませんし、水やアルコールで手紙のインクを滲ませてしまうリスクもありません。古い本には、こんなウソみたいな種明かしがよく紹介されていました。
ただし、今回のブック/ドキュメントスキャナーの紹介には、ウソや都市伝説はありませんので安心してくださいね。
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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