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業界人の《ことば》から 第590回

生成AIに3000億円投資の日立、成長機会なのか?

2024年05月14日 13時10分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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今回のひとこと

「成長投資の成果が、2025年度からスタートする次期中期経営計画において、オーガニックな成長の柱になる。日立は新たな成長機会をしっかりと獲得できる企業であることを証明して、2024中期経営計画を終えたい」

(日立製作所の小島啓二社長兼CEO)

 日立製作所は、2024年度中に生成AI分野に3000億円を投資すると発表した。

 日立製作所の小島啓二社長兼CEOは、「生成AIの出現は、新たな成長機会と捉えており、そこに重点的に投資する」と語る。

 だが、日立製作所では、自らがスクラッチで生成AIを開発することは考えていない。

 これまでにも日立の小島社長兼CEOは、「主要なプレーヤーが持つ大規模言語モデルに、日立が持つ固有のコンテンツをマージし、特徴のある生成AIを提供していくことになる。日立の生成AIへの取り組みは、大規模言語モデルを持つ主要なプレーヤーとのパートナーシップが重要になる」とし、大規模言語モデルの開発には、自ら取り組まない姿勢を明確にしている。

 その一方で、生成AIの社内外での利用を促進する専門組織として、「Generative AIセンター」を、2023年5月15日から稼働。ちょうど1年を経過したところだ。

 生成AIに関する知見を持つデータサイエンティストやAI研究者のほか、社内IT部門やセキュリティ部門、法務部門、品質保証部門、知的財産部門などの社員で構成。日立グループの32万人の社員に対する生成AIの利用支援を行うとともに、社内で蓄積した生成AI利用に関するノウハウを顧客に提供することになる。

 小島社長兼CEOは、「生成AIでは、大規模言語モデル(LLM)に注目が集まっているが、日立が得意とするのは、LLMにデータを供給するデータインフラの部分である。そこに、Hitachi Vantaraのデータストレージやハイブリッドクラウドが活用できる。また、LLMの上位にあるアプリケーションでは、日立が得意とするOTとITの組み合わせによる提案が可能である。日立は、こうした領域で、生成AIが生み出すインパクトを、ビジネスにつなげていきたいと考えている」と語る。

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