青い日記帳の推し丸アート 第26回

まだ無名でもこれからきっと来る! 未来のトップアーティストが自身の言葉で語る 「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」

文●中村剛士

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 若手アーティストの発掘・育成を目的とした現代美術の展覧会「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」が今年も開催。会期中(2024年4月25日~5月12日)多くの人が「今」を伝えるフレッシュで斬新なアート作品を丸の内で楽しまれました。

行幸地下ギャラリーでの展示の様子

無料で見られて、楽しみ方まで分かった気分になる「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」でアート鑑賞にハマりそう
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 全国の主要な美術大学・芸術大学・大学院の卒業修了制作展から審査員が直接選んだ作品で構成される「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI」(アートアワードトーキョー丸の内)は今回で18回目の開催となりました。

 過去このアワードに選出され、今では現代アート界の第一線で華々しい活躍をみせているアーティストさんたちもたくさんいます。

 今はまだまだ名前が知られていなくても、必ずここから大海へ巣立っていくアーティストが今年も必ずいるはずです。

無料とは思えぬ充実度! 全国の美大・芸大から作品が集まるアートの祭典が今年も丸の内で開催!
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 全国の美大・芸大の傑作品が丸の内に集結した「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」。今年から初日に全20作品の中からグランプリや審査員賞、三菱地所賞など各賞が発表となりました。

開催初日の4月25日に各賞が発表された

 各賞の受賞者は下記の通りです。

グランプリ:高田マル(京都市立芸術大学 大学院)
審査員 今村有策 賞:李 晟 睿智(東京藝術大学 大学院)
審査員 木村絵理子 賞:趙 彤陽(京都芸術大学 大学院)
審査員 後藤繁雄 賞:高尾岳央(京都芸術大学 大学院)
審査員 小山登美夫 賞:和田咲良(東京造形大学)
審査員 建畠晢 賞:奥野智萌(東京藝術大学 大学院)
審査員 藪前知子 賞:和田咲良(東京造形大学)
フランス大使館賞:山口遼太郎(京都市立芸術大学 大学院)
OCA TOKYO賞:本岡景太(東京藝術大学 大学院)
三菱地所賞:朝井彩華(女子美術大学)

 
 今回の青い日記帳の推し丸アートでは、受賞者のコメントや作品解説を紹介します。きっと何年か後に現代アートの世界で名を馳せている人もいるに違いありません。

 青田買いではないですが、今から伸びしろ十分のフレッシュな作家の言葉をチェックしておきましょう。

グランプリ:高田マル(京都市立芸術大学 大学院)

「絵を描き、絵を見せ、絵を見る。なぜ人間は、なぜ私は、この欲求を手放せずにいるのか。衝動を原初に向かって解きほぐしていく。」

審査員 今村有策 賞:李 晟 睿智(東京藝術大学 大学院)

「戦後の社会的逆境の中で多様なアイデンティティを抱えながら強く生き抜いた私の母と祖母の世代の韓国の母像を主題に描いている。」

審査員 木村絵理子 賞:趙 彤陽(京都芸術大学 大学院)

「異なる言語を使う人と付き合った時、趙はAIツールで2人の交流と関係に介入してみた。この短くて悲しい恋の経験を基づいて、趙は今の時代の愛の神様の様子を創造してきた。」

審査員 後藤繁雄 賞:高尾岳央(京都芸術大学 大学院)

「イメージがどのように機能するかを絵画で模索する。化石から生まれる変更可能なイメージ、恐竜のような変化するイメージを目指す。」

審査員 小山登美夫 賞、藪前知子 賞:和田咲良(東京造形大学)

「人間のコミュニティに生じる問題を作品と鑑賞者の関係性を利用して再考し、空間に配置された手掛かりから相互交渉を試みる。」

審査員 建畠晢 賞:奥野智萌(東京藝術大学 大学院)

「『モチーフのデフォルメ』と『通訳』をキーワードに、自身を含めた生物の身体の異形性への興味を主軸に創作活動を行う。」

フランス大使館賞:山口遼太郎(京都市立芸術大学 大学院)

「日常に溢れる小さなひかりをモチーフに、陶土で小さく繊細な造形を行った。静かな場所にキラッと何かが光る場面や風景を表現した。」

OCA TOKYO賞:本岡景太(東京藝術大学 大学院)

「ある時の紙の『ひと貼り』を貼り付ける瞬間、眼から視覚の単位を放つかのような感覚がやってきた。」

三菱地所賞:朝井彩華(女子美術大学)

「私たちは崩壊と誕生に飲み込まれて生きている。『変化』と向き合い『生命』とは何か、思考する。」

 4月25日(木)に丸ビル1Fマルキューブで行われた表彰式でグランプリを獲得した高田マルさん(京都市立芸術大学 大学院)の喜びのコメントも合わせて紹介しておきます。

高田マルさん

「以前によく丸の内に来ていたことがあり、行幸地下ギャラリーも何度も通っていたので、今回のプランを立てる時点から、自分ならどういうものが見たいだろうと考えて作りました。初めは家の中でコツコツと作業していたものを皆さんに見ていただく機会をいただき、一連の時の流れを共有しているような気がします」

高田マルさんのグランプリ受賞作品「こわれながらうまれる(間違った言葉)」

 近い将来今回の受賞者たちのコメントを振り返る日が必ず来ます。そして次回展に向け新たなアーティストたちの制作もスタートしています。今後の「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI」も欠かさずチェックして行きましょう! これこそ同時代を生きる私たちが、現代アートを楽しむ醍醐味です。
※各作家の大学名は2024年3月卒業・修了時のものです。

「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」
開催日程:2024年4月25日(木)~5月12日(日)11:00~20:00
展示会場:行幸地下ギャラリー
入場:無料
主催:アートアワードトーキョー丸の内 2024 実行委員会
特別協賛:三菱地所株式会社
協賛:株式会社大和証券グループ本社/能美防災株式会社/丸の内熱供給株式会社/YKK AP株式会社
後援:三菱一号館美術館/在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ東京/OCA TOKYO/TOKYO MX
審査員(五十音順):
今村有策(東京藝術大学大学院美術研究科 教授)
木村絵理子(弘前れんが倉庫美術館 館長)
後藤繁雄(編集者、クリエイティブディレクター、京都芸術大学 教授)
小山登美夫(小山登美夫ギャラリー 代表、日本現代美術商協会 副代表理事)
建畠晢(埼玉県立近代美術館 館長)
野口玲一(三菱一号館美術館 学芸員)
藪前知子(東京都現代美術館 学芸員)
Webサイト:https://www.marunouchi.com/pickup/event/2605/

 スマートフォンアプリ「PINTOR(ピントル)」と連動し、展示作品の解説を読むことや作品に対しての質問を投稿するとアーティストから回答をもらうことができ、より“深い”アート鑑賞を行えます。(※一部参加作家を除く)。さらに、来場者同士で展示会の感想をシェアするなど、アプリを通して新しい楽しみ方ができるようになりました。

PINTOR
「PINTOR(ピントル)」は現在開催されているアートイベントを見つけることができるスマートフォンアプリです。また、イベントだけではなく、10万件以上の作品、8000人以上の画家から芸術様式や色合い、別のユーザーのコレクションなどから、自分にとって最高の作品を見つけることができます。作品の解説や画家のプロフィールなどを見て、レビューやコレクションをしてアートの記録を取って楽しむこともできます。
「ART AWARD TOKYO MARUNOUCHI 2024」では、二次元コードを読み取ることで簡単に作品のことを知ることができるほか、作品に対して抱いた疑問を投稿することで、アーティストから回答をもらうことができます(※一部参加作家を除く)。さらに、レビューを書くことはもちろん、他の来場者の感想も知ることができます。
公式ホームページ:https://company.pintor.jp/

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