期待されているSpotifyのロスレス配信と関係しそうな情報がまた見つかった。RedditのユーザーによるSpotifyのソースコード解析(1.2.36)の結果を画像付きでレポートしている。すでに「Spotify HiFi」という名称はなく、過去の連載記事で紹介したオプションプランの一部と位置付けられているようだ。「Spotify Lossless」と言ったほうが正しそうだ。
Losslessはサービスと言うより設定項目
Redditでレポートされている、新しいバージョンのSpotifyは画面上で再生品質の一つの設定として「ロスレス品質」があるのが見て取れる。選択肢には「低ビットレート(24kbps)」「標準(96kbps)」「高品質(160kbps)」「超高品質(320kbps)」「ロスレス(最大2117kbps)」がある。
2117kbpsという数字は、2ch×44.1kHz×24bitの非圧縮データのビットレートに近い(2×44100×24=2,116,800)。事前に言われていたように、最大24bit/44.1kHzの品質になるということなのだろう。別のダイアログでは1411kbpsという数値も見られるが、1411kbps(1.4Mbps)はCDと同じ44.1kHz/16bitのビットレートである(2×44100×16=1411200)。さらに別のダイアログに「ロスレスは使用可能な時に再生され、24bitロスレスは一部の曲でのみ使用できる」という注意書きもあるので、おそらく曲によって表示が動的に変化するのだろう。
なお、この品質設定はストリーミング再生/ダウンロード再生の両方で設定できるようだ。
高音質再生にはSpotify Connectを推す
もうひとつ興味を持ったのは、再生しているデバイスが「Spotify Lossless」に対応可能かどうかを知らせるダイアログがある点だ。例えば下記のようないくつかのメッセージが見られる:
・ロスレスを聴くためにはSpotify Connectを使用するのが最善です
・Bluetoothを使用するとロスレス再生品質に悪影響を与えます。多くのBluetoothデバイスでは超高品質(320kbps)よりも良い音質で聴くことができますが、ロスレスを完全にはサポートしていません。ロスレスを聴く最善の手段はSpotify Connectを使用するか有線接続を使うことです
・Spotify Connectを使えばワイヤレスでも24bit対応ができます
また、ロスレス再生にユーザーが慣れていない場合に、役立ちそうなメッセージもある。もしかすると、なんらかのロスレスに関するトラブルをサポートする機能があるのかもしれない。
・24bitでストリーミングする場合は、Losslessのラベルを目印にしてください
・コントロールはあなた次第。ロスレスになりませんか?ではストリーミングのプロのヒントをご覧ください
もちろんこれらは開発中のものだ。変更は随時あると思う。しかし、こういった続報が出てきたことで、サービスのローンチが近づいてきているという印象を受ける。
また、前述のような「Spotify Connect」を推すのメッセージが多く見られることから、ロスレスのサポートはSpotify Connectの浸透を狙った「戦略」なのかもしれないといううがった考え方もできる。しばらく期間が空いてから、“Spotify HiFi”が復活した背景には、何かメーカーの思惑があってもおかしくはないだろう。
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