Serial ATAが標準化
次第にSATAに移行していく
以上のように1990年台から2000年台前半にかけては圧倒的な普及ぶりを誇ったEIDEであるが、2000年にSerial ATAの最初の標準化が完了した。2002年頃からSerial ATAに対応した製品の市場投入が始まり、2005年頃にはもうSerial ATAが主流になった。理由はいくつかある。
①フラットケーブルの幅は50mmほどあり、取り回しにけっこう苦労する。しかも全長は仕様上46cmに限られ、大きなケースでは届かないこともしばしばある。これを超えるケーブルも市販され、またフラットケーブルではなく間をほぐして丸くした(スマートケーブルなんて商品名で販売されていた)ものも存在したが、取り回しはそう楽にならなかった。おまけに仕様を外れているので、動く時もあれば動かない時もあった。
②1本のケーブルに最大2台までしかHDDやATAPI機器を接続できず、拡張性に乏しかった。このあたりはもっと台数をつなげるSCSIの方が柔軟性が高かった。
③データの通信方式が、リファレンスクロックに合わせる同期式ではなく、Strobe信号などを利用してハンドシェイクする非同期式で、これ以上の高速化が困難だった。
④コネクターが大きいため、小型化には適さなかった。2.5インチHDD用に44pin化したうえでコネクターの寸法を小さくしたものもATA-3で追加されたが、それでもまだ大きかった。
⑤2台のHDDのマスター/スレーブの設定はジャンパーピン(40pinコネクターと電源コネクターの間にある8本のpinにジャンパーピンを装着する)で設定する必要があり、Plug & Playからほど遠い状況だった。もちろんHot Plug&Unplugなどには未対応だった。
2005年頃には、EIDE HDDをSATA I/Fに接続するためのアダプターなども販売されており、2010年台に入るともうほとんどEIDEに対応したHDDは見かけなくなった。
ちなみに2000年台中頃からは、Serial ATA/SATAとの対比でParallel ATAあるいはPATAと呼ぶことも増えてきた。理由の1つにはチップセット側の対応もあるだろう。インテルで言えば、連載37回で示したIntel 965~45世代のロードマップを見るとわかるが、2007年のGM965にはまだPATAが残っているが、2008年のGM45ではPATAが消えてSATAのみになっている。
これに先んじてHDDはSerial ATAに移行しており、このGM965世代でのPATAの主な用途はCD-ROM/DVD-ROMなどの光学ドライブ向けとなっていた。IDE/EIDEは技術の発展に追従できずに消えていった、というべきなのだろう。

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