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有機-無機ペロブスカイトの新たな派生構造を発見=東工大など

2024年04月19日 06時21分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京工業大学、コロラド州立大学などの共同研究チームは、太陽電池材料として注目される有機-無機ハイブリッドペロブスカイトに、分子イオンを添加することによって新規化合物を合成し、これまで知られていなかった一連の派生構造が形成されることを明らかにした。

東京工業大学、コロラド州立大学などの共同研究チームは、太陽電池材料として注目される有機-無機ハイブリッドペロブスカイトに、分子イオンを添加することによって新規化合物を合成し、これまで知られていなかった一連の派生構造が形成されることを明らかにした。 FAPbI3(FA = CH(NH2)2)などの有機-無機ハイブリッドペロブスカイト化合物は、太陽電池、蛍光体などさまざまな分野で応用が期待されている半導体材料である。研究チームは今回、ペロブスカイトFAPbI3のヨウ化物イオン(I-)の一部を分子性のイオンであるチオシアン酸イオン(SCN-)に置き換えることで、柱状欠陥が整列した新規化合物FA4Pb2I7.5(SCN)0.5の合成に成功した。 研究チームはさらに、過去に報告した柱状欠陥を持つFA6Pb4I13.5(SCN)0.5と合わせて、これらの化合物が、欠陥量に対応する1/n(nは整数)を使ってFAn+1Pbn-1I3n-1.5(SCN)0.5として系統的に記述できることを見出した(過去の報告はn=5、今回の報告はn=3に該当する)。研究チームによると、有機-無機ハイブリッドペロブスカイトにおいて、欠陥の整列に基づく化合物系列が示された例はこれまでなく、欠陥工学に基づくペロブスカイト探索をさらに推進することで、光機能材料としての発展が期待できるという。 研究論文は、ACSマテリアルズ・レターズ(ACS Materials Letters)誌のオンライン版に2024年4月16日付けで掲載された

(中條)

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