日本におけるクラウド/AIインフラ需要に対応、ソブリンクラウドや政府系クラウドに重点
オラクルが日本市場に10年間で1.2兆円以上を投資へ、狙いは
2024年04月18日 17時30分更新
オラクルは2024年4月18日、東京で開催されたカンファレンスイベント「Oracle CloudWorld Tour Tokyo」において、日本市場に対して今後10年間で80億ドル(およそ1.2兆円)以上の投資を計画していることを発表した。日本市場において、クラウドやAIインフラへの需要が拡大していることを受けての動きと説明している。
これと合わせて、日本の顧客企業、パートナー企業のデジタル主権/ソブリンクラウド要件対応を支援するために、日本を拠点とする運用人員やサポートエンジニアリングチームの大幅な拡大も発表している。
同イベントのキーノートで登壇した米オラクルCEOのサフラ・キャッツ氏は、オラクルでは長年にわたって日本への投資を行ってきたが、今回は特に「非常に重要な投資計画」であることを強調した。
「日本にとって現在は、経済が本格的に動き出した重要なタイミング。そのため、トップの(最良の)テクノロジーに対する需要が高まるものと見ている。このタイミングでオラクルが、トップのパートナーとも連携しながら、日本の政府や日本の産業が必要とするケイパビリティを持つことが重要だ。モダンなテクノロジーを持つこと、さらにはそうしたテクノロジーを(日本の)リージョンで、主権(ソブリンティ)のあるかたちで持つことが必要だと考えている」(キャッツ氏)
オラクルでは、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)の東京リージョンを2019年に、大阪リージョンを2020年にそれぞれ開設し、OCIがラインアップするすべてのサービスを提供している。キャッツ氏は、日本のOCIビジネスからもすでに需要拡大の強い手応えを得ていること、これから展開する他国とは違って日本リージョンは「追加投資」の段階であることを説明した。
キャッツ氏は、今回の投資目的は「幅広いもの」だと前置きしながらも、特に、通常の商用リージョンとは切り離された政府専用リージョンなどの「隔離リージョン(Isolated Region)」、そしてデータ主権の要件を満たす「ソブリンリージョン」の必要性を強調した。
オラクルでは、すでに米国、英国、EU、オーストラリアなどでこうしたリージョンを展開しているが、日本においても同様に構築していくと述べた。機密度の高いデータを扱うこれらのリージョンを実現するうえで、セキュリティに重点を置いて投資を行う。また、日本の顧客やパートナーを支援するために、日本を拠点とする運用人員やサポートエンジニアリングチームの大幅な拡大も行うとした。
なお今回の発表では、10年間の投資計画額を80億ドル「以上」と表現している。プレス向けセッションの中で、キャッツ氏はこの額を「最小限の投資(minimum investment)」だと述べ、日本市場における今後の需要によってさらに投資額が増える可能性も示唆した。
同日には、日本市場におけるソブリンクラウドの提供に関して、米オラクルと富士通との戦略的パートナーシップも発表されている。国内データセンターに配置した「Oracle Alloy」を活用し、富士通のサービスとして日本の顧客に提供するものだ(この詳細は別記事でお伝えしている)。