エリアLOVEWalker総編集長・玉置泰紀のまち散歩 第4回
「商業施設」から「創造施設」へ。神宮前交差点のカドチに生まれる新施設「ハラカド」の内覧に行ってきたぞ
商業施設から創造施設へ。東急不動産株式会社は2024年4月9日、東京地下鉄株式会社と共に推進してきた東急プラザ原宿「ハラカド」(以下「ハラカド」。2024年4月17日オープン)の記者内覧会を実施した。ハラカドは、東急不動産が、渋谷駅を半径2.5㎞のエリア=広域渋谷圏で、原宿・神宮前を世界に向けた文化創造・発信拠点とするため核となる商業施設として神宮前交差点のカドチで開発を進めている。交差点の対向には「東急プラザ表参道「オモカド」がすでに開業しており、今後は相乗効果が期待される。
記者会見では、東急不動産の都市事業ユニット渋谷事業本部の黒川泰宏本部長は、初年度の目標集客数を1000万人としたが、売り上げの目標はあえて出さないと話した。従来型の商業施設だと、物販、賃貸料が主な収入になるが、ハラカドは「創造施設」であり、その実現のため、クリエイターを育成・支援・共創するプラットフォームや、リアルの価値を最大限活用する3種の新しい体験型メディア(屋上テラス、2階のCOVER、チカイチ)を実装し、継続的に発展していく新しい運営方式を導入し、売り上げではない価値の創造を目指しているという。
例えば、この施設そのものがリテールメディアとして広告媒体になることも考え、実際に、開業後の予定も入っている。企業・クリエイターと連携し体験型の様々なイベントを展開する新しい体験価値を享受できる場所「創造施設」として、様々なイベントを開催していく。屋上テラス、雑誌ライブラリー、銭湯をメディアとして、ここでしか体験できない価値を提供していく。
ハラカドは、これまで様々なカルチャーを生み出してきた原宿・神宮前エリアが持つヒストリーや、SNSを通じて誰もが発信や自分なりの表現を行うパーソナルなメディアの時代を意識した「創造施設」を目指し、個性豊かな75店舗を地下1階から屋上テラスまでの全フロアに集めた。
●地下1階「チカイチ」
日本特有の湯上がり文化を満喫して実現する新たな体験型メディア。「ハラカド」地下1階の銭湯「小杉湯原宿」および湯上がりゾーン「チカイチ」(約151坪)では、“素”に出会える場所・“そのまま”でいれる場所という意味を込めて「素のまま、そのまま」をコンセプトに本質や素に出会い、浸かれる体験を提供する。小杉湯は、昭和8年から90年続く高円寺の老舗銭湯。原宿でも、まず、地域の人の日常に根を張っていきたい、という。
このコンセプトに共感した花王株式会社は、小杉湯原宿との協業を通じて、清潔・清浄にまつわる様々な体験の場を創造し、積極的な情報発信をしていく。「アンダーアーマー」(株式会社ドーム)は、原宿・渋谷のフィールドでスポーツのある日常と最新のテクノロジーを提供。「サッポロ生ビール黑ラベル」などに代表されるサッポロビール株式会社は、湯上りはもちろん、どんな時にも立ち寄って、素に浸れる完璧な生ビール体験を提案する。美容健康ブランド「MYTREX」(株式会社 SetsuPlanning)は、誰もがありのままになり、ゆっくりくつろげる心地よい空間で「MYTREX」と触れ合ってセルフケア後の変化の実感を目指す。
●7階 屋上テラス
年間約8,900万人が通行する、日本有数の神宮前交差点を舞台にできる交差点メディア。ここでは、超都心でありながら、緑豊かな庭園空間と飲食提供可能なPOP UP SPACEが連動し、多様な企業やブランドとのコラボレーションイベントが開催できる。4月18日から21日は、世界的なスピリッツカンパニーの日本法人であるバカルディ ジャパン株式会社が、ウイスキーブランドの「デュワーズ」のプレミアムイベント「ハラカド開業記念ルーフトップバーイベント」を開催する。
●2階「COVER」
あらゆる雑誌の紙面と連動したリアル体験メディア。出版社の枠を超えたあらゆる世代・ジャンルにまたがる雑誌特集記事とのコラボレーションイベントが行われる。プロデュースは株式会社ひらくの「文喫」チーム。出版社約20社の複数の雑誌特集記事とのタイアップが毎月更新され、鮮度の高い情報発信が可能。さらに、神宮前交差点に面した窓面スペースの活用により、雑誌の紙面と交差点への広告、リアルな体験を連動させたプロモーションを実現する。4月18日から23日は、「週刊誌『AERA』presents雑誌のつくりかた大解剖展」を開催。
●4階 ハラッパ「NATURE CROSSING」
フロア全体を「ハラッパ」と題し、「自然・チルアウト」×「原宿で体験」をテーマにした企画を展開する。焚き火を囲うようなインスタレーションなど、自然やサステナブルを感じるコンテンツが、約312坪で展開されている。さらに、代官山駅前のサステナブル活動拠点でありカフェとイベントスペースで構成される「TENOHA 代官山」(Forestgate Daikanyama内)とも連携をしていく。
●3階 クリエイターズプラットフォーム
クリエイターの集積・共創・発信の場。
『BABY THE COFFEE BREW CLUB』
クリエイティブ・ディレクターの大木秀晃氏(株式会社 OOAA)と、プロデューサーの城本久嗣氏(株式会社 ii)がプロデュースする会員制のクリエイティブラウンジ。“おいしい珈琲と人が集まる場所に、新しいアイデアが生まれる”をコンセプトに、ラウンジや大型アンティークスピーカーを備えたミニシアター、ポップアップスペース、ギャラリーなどをフロアに展開している。
『STUDIO SUPER CHEESE』
スタジオスーパーチーズは、スタジオの常識を超えたスタジオ。フォトスタジオとしてはもちろん、メディアとしてのスタジオ、そして夜には角打ちができるスタジオ。制作するクリエイターだけではなく、人のたまり場を目指す新感覚スタジオだ。写真のモデルは筆者。
『STEAM STUDIO』
クリエイティブカンパニーの博報堂ケトルは、ショート動画の撮影編集や配信を行えるソーシャルクリエイティブ専門のスタジオ機能を備えた「STEAM STUDIO」を展開する。動画の企画・制作に加えインフルエンサーネットワークの構築やイベント実施など複合的なクリエイティブ活動を発信する、SNS時代に最適化されたスタジオ。
●1階
『ヒトツブカンロ』
カンロ飴やピュレグミでおなじみ「カンロ」のキャンディショップ。「ヒトからヒトへつながるヒトツブ」をコンセプトに「飴をあげる楽しさと、もらう楽しさをつくりだしたい」という想いをこめて、小さくとも、ときめきにあふれた一粒を届ける。
https://kanro.jp/pages/hitotubu
『HealthyTOKYO CBD SHOP & LABO』
CBD市場のパイオニアであるHealthyTOKYO CBD SHOP & LABOは、東京で初めて出店した革新的なCBDショップ。自然と科学が調和し、リラクゼーション体験を提供する。健康とウェルネスをサポートするプレミアムヘンプ由来のCBDオイル、グミ、化粧品、ビーガンスイーツがそろう。全てがMade in JAPAN。
『HINEMOS(ヒネモス)』
時間をコンセプトにした日本酒ブランド。日本酒を日常の一つひとつの時間に寄り添う身近なものにしたいという想いから、世界中の人たちの共通概念である「時間」を商品コンセプトにした。2023年に中目黒に直営店をオープンし、都内の直営店は2店舗目(商業施設内への出店はブランド初)。店舗では商品を全て無料で試飲可能。
●2階
『TENGA LAND』
「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」をビジョンに掲げるTENGAが、表参道(表通り)に「TENGA LAND」をオープン。「TENGA LAND」はTENGAグループのすべてのブランドが並ぶ“愛と自由のワンダーランド”として、原宿の街に、そして原宿から世界へ、多様なカルチャーを発信していく。
『THREE TREASURES』
生命の関係性をコンセプトに複数のブランドとのコラボレーションから生まれたプロダクトや独自のブランド製品を手がける。これまでオンラインストアとポップアップなどを中心に販売をしてきたTHREE TREASURESが、今回初めてリアル店舗を出店。デザイナーズブランドとの店舗限定コラボアイテムも販売予定。
『led.tokyo』
「So many women, so many styles」をコンセプトに掲げダイバーシティな世界で GENRELESS, GENDERLESS, AGELESSな世界を原宿から世界に向けて発信。原宿店を旗艦店と位置付け、アジアのドメスティックブランドの仕入れやオリジナルのリメイクラインなどを展開して、アジアファッションの力を集積する。
●5階 原宿のまちの食堂
飲食フロアとなる5階と6階は、多様な人々が集い、新しい食文化や人との出会いを生み出す新しい「原宿のまちの食堂」として、これまで原宿・神宮前エリアにはない過ごし方や体験価値を提供する。5階はクリエイティブマインドを刺激するような内装の店舗が横丁のように軒を連ね、アートも点在する。
『TOKYO MEAT 酒場』
TOKYO MEAT酒場はイタリアの「21番目の州」をイメージし、イタリア料理とTOKYOの文化や技術を兼ね備えた、独自のTOKYOイタリアンという新しいジャンルの創造をめざしている。名物は「お箸で崩れる旨トロ角煮」「牛ハツのカルパッチョ」など。
https://italian-innovation-cucina.jp/
『一風堂』
原宿初出店。施設周辺のオフィス需要や買い物客だけでなく、海外から来店する客も意識した外観イメージを採用。歌舞伎のデザイン、提灯など「和」の要素をふんだんに取り入れている。ラーメンやソフトドリンクだけでなく、ビールや名物の「博多ひとくち餃子」も用意している。
『原宿牡蠣屋 TokyoSeafood』
オイスターバーと和食のハイブリットブランド。国内の厳選した牡蠣と旬の海鮮、食材を【和】スタイルで。オイスターバーならではの様々な牡蠣料理に加え、国産ワインやナチュラルワインも取り揃え、Tokyo Harajukuから牡蠣屋ならではの【和食】を提供する。
『まぐろ問屋 恵み』
“まぐろ問屋が手がけた、織人(ショクニン)握りのお寿司”が鮮度感抜群のスタイルで。「こだわり抜いたまぐろ」「四季折々の旬」「相模湾近海の鮮魚」の可能性を引き出した、お寿司の数々を楽しめる。
『トーキングゴリラ』
オトナスタンディング。知ってる人にアツマッテモライタイ。隈研吾デザイン。
●6階 原宿のまちの食堂
6階は、「神宮前の交差点でゆったりしよう」をテーマに、最先端のものが集まる神宮前だからこそ、のんびり過ごせる神宮前交差点の“たまり場”に。開放的な屋上テラスとシームレスにつながり、全11店舗の個性的な飲食店から、多人数でシェアできる料理やお酒などのドリンクをテイクアウトして、思い思いの時間をひとりでも、仲間とでも自由にゆったりと過ごすことができる。この階には岡本太郎の『夢』(1961年。油彩・カンヴァス。渋谷区所蔵・原山優子氏旧蔵)も展示されている。
『the TAG by 青果堂 fruitsparlor』
銀座、恵比寿、名古屋、三重県などで展開するフルーツ店青果堂が新たなブランドとしてtheTAGをオープン。the TAGとは、“タグ付きの特別なもの”を意味している。目利きの専門バイヤーが日本の春夏秋冬の“旬”のフルーツを仕入れ、パティシエが見極めた“食べ頃”のタグのついたフルーツスイーツを用意する。
『バインミー☆サンドイッチ』
2010年に高田馬場でオープンしたバインミー専門店。自家製のソフトなフランスパンに、ベトナム人監修のオリジナルの具材がたっぷり入っていて満足いく食べ応え。「ハラカド」では、定番バインミー、期間限定バインミーに加え、ベトナムのフォーやVeganメニューも用意している。
https://www.instagram.com/banhmi_sandwich_takadanobaba/
●「水曜日のカンパネラ」をはじめとした様々なクリエイターと「ハラカド」がコラボレーションしたショートフィルム
「ハラカド」開業コンテンツとして、総勢約300人のスタッフやクリエイターとともに約40時間にわたる撮影を実施。開業前の全館を活用したショートフィルムを制作した。音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」が「ハラカド」開業を記念して特別に制作した『四天王』をバックに、ボーカルの詩羽さんが主演を務めるショートフィルムが完成した。
ショートフィルムには、様々な分野で活躍するアーティスト、ダンサーに加え、次世代のカルチャーを担う学生や、「ハラカド」に入居するテナント従業員約100人も出演し、コンテンツ制作に取り組んだ。ショートフィルムは開業日の4月17日に「ハラカド」屋上に設置するモニターと同時に「オモカドビジョン」で30秒素材が公開され、今後⻑尺のフルバージョンも公開予定。
「水曜日のカンパネラ」のコメント
「商業施設でありながら、クリエイターが集まり新しい文化をつくっていくという「ハラカド」。そのコンセプトにインスパイアされて『四天王』という楽曲を制作しました。原宿の四つ角に、様々な才能があつまり、新しく挑戦が始まる未来。「四天王って知ってんの?」「摩天楼で待ってんぞ」の歌詞をリフレインさせクリエイター達の一体感を表現しました。トラックはゆったりとしたアフロハウスとパワフルなベースハウスが交互にやってくるユニークなサウンドです。ライブでもコールアンドレスポンスなどしながら盛り上がってもらえたら嬉しいです。」
■施設概要
施設名称
東急プラザ原宿「ハラカド」
所在地
東京都渋谷区神宮前六丁目31番21号
店舗数
75店舗
営業時間
物販・サービス店舗 11:00〜21:00
飲食店舗 11:00〜23:00
※一部店舗は異なる
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