MWC Barcelona 2024には数多くのスマートフォンが展示されていましたが、チップセットメーカーもクアルコム、MediaTekが出展し、自社チップを搭載した各メーカーのスマートフォンを展示していました。スマートフォンのチップセットというと、この2社ばかりが注目を集めていますが、低価格モデル向けに特化した製品を出しているUNISOCもブースを構えていたのです。そこには見慣れぬスマートフォンがいくつか展示されていました。
「鉑頓」というロゴの入ったスマートフォン、これは中国の大手キャリア、中国電信が中国国内で展開している自社ブランドスマートフォンの1つ。この製品は「鉑頓10」で、UNISOC T820を搭載する5Gスマートフォン。ちなみに、T820は6nmプロセスで製造されています。メインカメラは5000万画素のエントリークラスの誠意品です。
一方、鉑頓S9は衛星通信に対応したハイエンドモデル。こちらもUNISOC T820を搭載し、カメラは5000万画素+1300万画素+1000万画素+200万画素と4つ。価格は4599元(約9万5000円)とかなり高価です。ディスプレーは側面を丸めたエッジデザインで6.67型です。
衛星通信は最近のスマートフォンのトレンドですが、基本的には緊急時のSMS発信程度の機能しか持っていません。ですが、この鉑頓S9は衛星を使った双方向通信が可能といいます。
対応する衛星は中国電信が中国でサービスしている「天通一号」。この衛星を使える双方向通信対応スマートフォンは、2023年8月にファーウェイが発表した「HUAWEI Mate 60」シリーズが最初でした。鉑頓S9はそれに次ぐ衛星通信対応スマートフォンとなります。
さて、中国電信はほかにも興味深い製品を中国で出しています。それがクラウドノートPCです。キーボードにWindowsキーがあるので、OSはWindowsを搭載している模様。実はこちらの製品、詳細情報がほとんどありません。
データは完全にクラウドに保存され安全も確保。アプリもクラウドに保存できる、といった製品のようです。5G対応ですが電源を入れるとすぐログイン画面になるため、常時ネットにつないで使うことが想定されているようです。
中国のスマートフォン市場は独自の進化をしていますが、中国UNISOCのチップセットや5Gモデムもメジャーな存在になりつつあり、多くのメーカーが採用を進めています。日本に参入をはじめたZTE傘下、nubiaの最新カジュアルゲーミングスマートフォン「nubia Neo 2」もT820を搭載しています。
2023年の世界のスマートフォンチップセット市場ではMediaTekはクアルコムやアップルを抑えて1位。低価格モデルの販売量アップがMediaTekの需要を高めています。UNISOCは低価格向け製品を中心とした展開ですが、新興市場のスマートフォン需要の高まりを受け、いずれ知名度も上がるに違いありません。
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