このページの本文へ

【2024年提出】確定申告ガイド 第25回

【2024年提出確定申告 インボイス編】初めての消費税の確定申告を乗り切る負担軽減措置と計算方式のキホン

2024年03月27日 08時00分更新

文● 松下典子 編集●飯島恵里子/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

小規模事業者の納税事務負担を軽減「簡易課税」を知ろう

 簡易課税制度は、小規模事業者の納税事務負担を軽減するために設けられた制度です。基準期間(個人事業主は前々年、法人は前々年度)の課税売上が5000万円以下であれば、事前の届け出をすることで利用できます。

 簡易課税では、実際にかかった仕入れや経費の消費税を計算する代わりに、事業区分に応じて一定の割合の「みなし仕入率」を使って仕入れ控除額を計算します。

納税額=課税売上の消費税額-(課税売上の消費税額×みなし仕入率)

●事業区分とみなし仕入率

事業区分 事業内容 みなし仕入率
第1種事業 卸売業 90%
第2種事業 小売業 80%
第3種事業 農業・林業・漁業、建設業、製造業、電気・ガス・水道業など 70%
第4種事業 飲食店業など 60%
第5種事業 運輸通信業、金融・保険業、サービス業(飲食店業以外) 50%
第6種事業 不動産業 40%

 みなし仕入率は事業区分ごとに違うので、まず、自分の事業がどの区分に該当するのかを確認しましょう。複数の事業をしている場合は、事業区分ごとに分けて、それぞれの売上税額について、みなし仕入率をかけた額を引いて税額を計算します。特例として、2種類以上の事業のうち、1つの事業の課税売上高が全体の75%以上を占める場合には、全体の課税売上に対してみなし仕入率を適用できます。

 なお、簡易課税制度の利用には届け出が必要です。届け出は「消費税簡易課税制度選択届出書」を、簡易課税にする課税期間の初日の前日までに、所轄の税務署に提出します。例えば、2024年分から簡易課税にしたい場合、原則として2023年12月31日までに届出書を提出しなければ簡易課税にすることができません。

 ただし、いくつか特例があります。

①2023年10月1日から2029年9月30日までの日が属する課税期間中に免税事業者がインボイス登録をして登録日から課税事業者になった場合
・課税事業者となった課税期間中に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税にすることができます。例えば免税事業者が2024年4月1日にインボイス登録を受け、同日から課税事業者となった場合には、2024年12月31日までに届出をすれば2024年分から簡易課税にできます。

②2割特例の適用を受けた場合
・2割特例の適用を受けた課税期間の翌課税期間については、その課税期間中に届出書を提出すれば簡易課税制度にすることができます。例えば2割特例を適用していた課税事業者が、2割特例の経過措置が終了する2026年中に届出をし忘れた場合でも、2027年12月31日までに届出書を提出すれば、2027年分から簡易課税にできます。

 2割特例は2026年分までの期間限定なので、いずれは簡易課税制度か一般課税のどちらかを選択することになります。簡易課税制度の届け出を提出していても、申告の際に2割特例を選択できるので、一般課税で申告する自信がない人は早めに届け出をしておくと安心です。

カテゴリートップへ

この連載の記事
  • 角川アスキー総合研究所

MSIが変える、未来のクリエイターを育てる教育環境

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ