NEC時代の経験と経営陣に深く切り込んだ提案と交渉を
橋本新社長は、これまでの3つの経験が、コンカーの経営に生きると語る。
ひとつめは、NEC時代に経験したクラウドサービスの立ち上げである。
橋本新社長が関わったのが、業界初の建設業向け基幹システムサービス「建設クラウド」だ。
建設クラウドは、ユニークな経緯で誕生している。NECでは、建設業向けパッケージ「C-BARX」を開発し、建設業各社に横展開していたが、イニシャルコストを抑え、安価で、安定的に、長期にシステムを利用したいというユーザーの要望が高まってきたことを受けて、共同利用が可能なクラウドサービスの開発を行うことを決定。その際に、C-BARXのユーザーであった東急建設、竹中土木、日本国土開発、TSUCHIYAの4社がNECと共同で研究会を立ち上げ、基幹業務クラウドサービス開発プロジェクトを推進。共同開発により開発費用を低減するとともに、共通に利用できる機能を増やし、カスタマイズを最小限に抑えると同時に、共同センター型サービスにシフトし、利用企業を増やしながら、システムを成長させることを目指した。
この呉越同舟ともいえる開発プロジェクトによって完成したのが「建設クラウド」である。まだクラウドのメリットが不確かな時代に先行した事例のひとつとして注目を集めた。
「新たなことに挑戦する際に、必要なものがあると感じたら、諦めずに突破するための努力を行うということは、このときに学んだ。コンカーが、日本にデータセンターを設置する際の米国本社との交渉でも、このときの経験が生きたと思っている」と語る。
2つめは、同じくNEC時代に経験したエコシステム構築の経験だ。
外食産業を担当した際に、サプライチェーン全体を網羅した提案が必要であることに着目。NECが得意としていたPOSシステムの提案だけに留まらず、倉庫管理や配送管理のベンダーなどと新たなエコシステムを構築し、ワンチームとなって、最大手外食チェーン企業にシステムのリプレースを提案。これが成功した経験がある。コンカーでも、パートナーアライアンスビジネスの責任者を務め、経費精算の電子化において、各カード会社のクレジットカードやコーポレートカードのほか、SuiCaなどの交通系カード、PayPayなどのQRコード決済、GOやS.RIDEといったタクシー会社の電子決済などを実現。ここまでつながっているサービスはコンカーだけであり、エコシステムの構築によって、他社サービスにはない経費精算サービスを成立させた。
「コンカーは、外部連携が重要な企業である。パートナーとは、Win-Winのスキームを構築しており、今後はさらに、パートナーのビジネスに貢献できる仕組みを提案していく」と語る。
そして、3つめが、経営層に入り込んだ提案だ。
ガートナー・ジャパン時代には、IT戦略立案の支援などを担当。ここでは、企業の課題を抽出し、それをもとに、経営陣に対する提案を行ってきた経験がある。
「今後、コンカーは、より経営に近いところでサービスを行い、企業のDX推進を支援することになる。コンカーのサービスが進化することで、CIOやCFOへの提案だけでなく、CEOやCDXO、CMOなどにも提案するケースが増える。経営層への提案を積極化していく」と語る。
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