日本のプレゼンスをアピールすべく
15社がバルセロナに集まった!
総務省が旗振り役を務め、日本の技術を世界に発信するためのブース「ジャパンパビリオン」がMWC Barcelonaに出展。日本の技術を世界にアピールするために、15社が集結した。その中でも気になる技術を披露していたメーカー紹介する。
情報通信研究機構(NICT)は「Beyond 5G」をテーマに、ストーリー仕立てで5Gの先の未来を体験できるドームシアターを設置。なぜドーム型にしたのか、担当者に聞くと「VRだとゴーグルをかぶったり、ひとりずつだったりします。このドーム型ならゴーグルも必要ないですし、2人同時に見ていただけます」とのこと。
このドームシアターの中では現在NICTが研究開発中の6Gやテラヘルツ通信、時空間同期、オーケストレーターとは? といったブース展示にかかわる技術の話が章仕立てで展開する。ストーリーの途中ではコントローラーを使って、指示された場所にカメラを向けると、その技術に関する説明が始まる、といったギミックもあった。
これらのストーリーを見たあとは実際に技術のデモンストレーションを体験。ウェブカメラ撮影した動画を、「Ultra Spot」と書かれた場所をラジコンカーが通過する瞬間にデータをアップロードするというもの。このUltra Spotはわかりやすく大きなエリアになっているが、通信するエリアはわずか数センチ。ラジコンカーの速度もまあまあ速いので、実質1秒もかからない速度で動画がアップロードされていた。担当者によると「10ミリ秒くらいで100MBくらいのデータを送りきってディスプレーに表示している」とのこと。
また、6Gがスタートすると言われている2030年にはデータトラフィックが現在の10万倍になるだろうと予想されており、無線ネットワークとコアネットワークの両方の需要が増加するということで、工業・農業・医療分野など様々な分野で利用可能な無線技術を目的とした技術のデモも見せてもらった。こちらは4K30fpsで撮影した動画を300GHz帯の無線ネットワークで送受信するもの。この技術が実用化されれば、たとえばドライブレコーダーはSDカードに保存した動画を古いものから上書きしているが、全部クラウドに上げて、録画されていない部分がない、という状態にできる。
現在は動画コンテンツが中心の世の中になっており、ただでさえデータトラフィックが増えている状況。この技術の実用化を待ちたい。なお、今後は電車やクルマなどを使った実証実験もしていきたいとのことだ
同じスマホじゃつまらない!
スマホを愛玩ロボットにする日本通信
ジャパンパビリオン内ではないのだが、近くにブースを構えていたのが日本通信。ここではネットワークではなく、スマホをロボット化したものを展示しており、そのスマホが動く姿に多くの人が足を止めていた。
「moby」と名付けられたロボットは、「ロボホン」などを開発したロボットクリエイターの高橋智隆氏が手がけたもの。あまりスマホのカタチは崩さず、それでいていつも一緒にいても飽きない、シンプルなデザインにしたと高橋氏。
出展のきっかけを聞くと「ロボットを作ってきて、ロボットをロボットとして売るハードルが高くなってきています。変わり種として、スマホに数千円追加するだけで作れるロボットなら、スマホショーにピッタリだろうと。あえてロボットのショーには出さずにこちらでスマホ側からアプローチしたかった」と言う。また「スマホの進化も画面が綺麗になったとかカメラが高性能になったとか、大きく変わることがなくなりました。なので、買い替え理由としてこのようなロボットスマホはどうかと提案したかった」と語った。
実際、取り付けパーツは少なく、あとはアプリで制御するので特別なことは必要ないようだ。コストもそんなにかからないで、取り扱ってくれるキャリアがあればすぐにでも発売したいとのこと。
mobyが動くデモンストレーションを見せてもらったので、動画を見ていただきたい。スマホが軽快に動く姿は、非常に愛らしく、こんなスマホがそばにいてくれると楽しそうだ。なお、スマホはPixel 4を使用している。
MWCでは世界から最先端の通信技術が集まるだけに、生半可なアピールでは埋もれてしまう。しかし、今回の日本勢の技術展示は注目を浴びていただけに、今後も最先端を走り続けてくれることを期待したい。
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