ドリル北村の「エモいPCパーツ、エグいPCパーツ」 第14回
大事なのは肉を食べながら見る電気街の風景?!
連日1時間待ちの行列! 肉の万世秋葉原本店閉店の衝撃
2024年02月27日 08時00分更新
先週の秋葉原は、「肉の万世 秋葉原本店」閉店の話題でもちきりでした。秋葉原電気街を象徴する建物として長く愛されてきたところだけに、PCパーツマニアのなかにも愛好家がたくさんいらっしゃるはずです。そこで今回は、秋葉原取材歴18年の筆者が、肉の万世ならびに秋葉原の老舗飲食店の話をしましょう。
■閉店が決まってから連日1時間待ちの行列
肉の万世 秋葉原本店は、2021年に自社ビルの「万世橋際角肉ビル」(通称:肉ビル)が売却され、2023年8月には焼肉の万世が移転したことから、昨年の夏ごろから「いずれ閉店するのでは?」と秋葉原で働くPCパーツショップのスタッフからも心配する声が挙がっていました。
先週発表された閉店のお知らせは、「ついにその日が来たか!」と思うと同時に「思っていたより早くその日が来てしまったな」と感じました。
秋葉原本店1階にある万世麺店は、秋葉原本店以外の全店舗がすでに閉店してるので、閉店したら排骨(パーコ)拉麺が食べられなくなってしまいます。そこで、排骨拉麺を食べられるうちに食べておこうと、連日愛好者が訪れ行列ができています。週末には、食券を買ってから1時間待ちにもかかわらず、本店を半周するほどの行列ができていました。
1階が混むのは理解できますが、3~4階の洋食店も1時間待ちになるのは予想外でした。肉の万世は関東を中心にロードサイド店を展開しているので、秋葉原本店が閉店しても洋食は別店舗で食べられます。ですがやはり、あの秋葉原の街が一望できる風景を見ながらみなさんハンバーグやステーキを食べたいのですね。秋葉原を象徴する飲食店ですし、強い思い入れがある人も多いことでしょう。
筆者も子供の頃、よく親に連れられて肉の万世の道路向かいにある交通博物館に行きました。1日遊んだ後、肉の万世で食事をしてから家に帰るのがお決まりのパターンでした。窓からは秋葉原電気街がよく見えるのですが、筆者はそれより、すぐそばを通る中央線を見て興奮していた記憶があります。
子供の筆者にとって肉の万世 秋葉原本店での食事は別格で、料理、景色、店員さんの態度、どれをとってもキラキラ輝いて見えました。学生時代は1階で排骨拉麺を、社会人になってからは地下にあったビアホール「呉越同舟」によく通いました(ここは飲み放題30分390円と格安でした)。自分の成長と共にあったのが肉の万世 秋葉原本店でした。私のように思い出がたくさん詰まっている人たちが、閉店前に大勢訪れているのでしょうね。
なお、秋葉原本店はなくなりますが、秋葉原地区から肉の万世がなくなるわけではありません。「肉の万世アキバプレイス店」が3月25日に中央通りにオープンしますし、移転した「焼肉の万世秋葉原店」も万世橋を渡った目と鼻の先で営業中です。あの万世の味が食べられなくなるわけではありませんので、肉ビルにこだわりがない人は、アキバプレイス店ができてからそちらに食べに行ったほうが、今ほど並ばずに食事を楽しめるでしょう。
それにしても、この10年の間に秋葉原の名店が次々と閉店していきました。思いつくだけでもかんだ食堂、冨貴、やきとり鳥万、伊万里、古炉奈、町役場、大酋長があります。さらにその前には、ラーメンいすず、喫茶東洋などの名店がありました。現在も残っているのは雁川、赤津加、サンボあたりでしょうか。
石丸電気と肉の万世の文字が万世橋交差点から消えてしまうなんて、子供の頃はまったく想像できませんでした。20年後の万世橋交差点はどのような風景になっているのでしょうか。20年後にその目で確かめてみたいものです。
ちなみに千代田区は現在、大規模な「外神田一丁目南部地区再開発」を計画中です。ちょうど肉の万世から見える国土交通省万世橋出張所、千代田区万世橋区民館、エディオン、オノデンのあたりを再開発し、高層ビル2棟を建てる計画です。
この計画が進行すれば、万世橋周辺の景観は大きく変わります。今の秋葉原の街並みを目に焼き付けておく意味でも、肉の万世 秋葉原本店があるうちに、ここでもう一度食事をしておくのは、大きな意味があるように思います。
閉店までおよそ1ヵ月。秋葉原本店1階のローソンでは、肉の万世オリジナルグッズや食品を販売しています。みなさんも悔いが残らないよう思い出作りに同店を訪れてみてはいかがでしょうか。
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