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活性酸素を効率よく安定に生成できる分子光触媒=東大

2024年02月01日 06時55分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、ポルフィリンと分子状タングステン酸化物を組み合わせて、活性酸素を効率良く安定に生成できる分子光触媒を新たに開発した。資源循環を指向した分子触媒や、エネルギー変換材料、光機能材料、医療、分子エレクトロニクスなど幅広い応用が期待される。

東京大学の研究チームは、ポルフィリンと分子状タングステン酸化物を組み合わせて、活性酸素を効率良く安定に生成できる分子光触媒を新たに開発した。資源循環を指向した分子触媒や、エネルギー変換材料、光機能材料、医療、分子エレクトロニクスなど幅広い応用が期待される。 ポルフィリンは、光のエネルギーを利用して活性酸素を生成できるため、化学合成の光触媒反応や光がん治療などに利用されている。しかし、生成した活性酸素と反応することによってポルフィリン自身が分解してしまうことが課題となっている。 研究チームは今回、ポルフィリンと分子状タングステン酸化物を組み合わせることで、可視光エネルギーを利用して空気中の酸素分子を一重項酸素(活性酸素の一種)に変換できる新しい分子光触媒を開発。同触媒が、ポルフィリン単独で使用した場合より一重項酸素を生成する効率が高く、可視光を照射した際にさまざまな有機化合物の酸化反応に優れた活性を持つことを示した。 同チームはさらに、今回開発した触媒により、耐久性の課題も解決した。ポルフィリンを単独で光触媒として使用する場合は反応後に90%以上のポルフィリンが分解したのに対し、今回開発した分子光触媒は、同じ反応条件でほとんど分解しないことを実験とシミュレーションで確認した。 研究論文は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)のオンライン版に2024年1月29日付けで掲載された

(中條)

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