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スピーディー末岡のMobile&Mobility最速最前線 第14回

日本のスマホメーカーが大ピンチ! 暗い話題が多かった2023年を振り返る

2023年12月31日 21時00分更新

文● スピーディー末岡

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 読者のみなさん、2023年はどんな年でしたか? 最近クルマ系コラムばかり書いていたので、スマホ担当として年内最後はスマホの話題で終わりたいと思います。

◆コロナ禍が落ち着き海外出張が復活

 2023年、個人的な話ではありますが海外出張が復活して、非常に充実していました。1月下旬に開催されたサンフランシスコでのGalaxy Unpacked(サムスン電子)を皮切りに、2月は4年ぶりにMWC Barcelonaに行きましたし、7月は韓国で再びGalaxy Unpackedに参加でき、発表会はオンラインよりも直接現地に行ったほうがメーカーの熱意が伝わるなあと、改めて思いました。いろんなイベントがコロナ禍でオンラインになって、家にいながらにして世界中の発表会が見られるようになりましたが、現地のライブ感には叶いません。

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MWC Barcelona 2023の会場

◆ドコモの通信品質問題は割と深刻に

 モバイル業界を振り返ると、ちょっと暗い話題が多かったように思います。日本に限った話題ですが、やっぱりドコモの「繋がりにくさ」は大きかったでしょう。ドコモはNTT法の件もあり、今年いろんな意味で話題になったキャリアといえます。筆者はドコモ回線だとahamoを使っていますが、各所で繋がりにくい状況が多く、スマホでゲームをよくするのですが、対戦の途中で突然切れたりしてイライラさせられたものです。あとXのタイムラインが更新できなかったり。

 まあ、ahamoなので安いからしゃーない、と割り切ってはいましたが。しかし、過去に一番繋がりにくいと言われたソフトバンクが、今年は一番繋がりやすいと言われるとは……。

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ドコモは何度か会見をして、通信品質改善に努めていると言っていましたが、まだ繋がりにくいところが多い印象

 ドコモは料金プランもirumoやeximoなど新料金プランを発表しましたが、既存プランとの違いがわかりづらいのと、他キャリアに比べて特別安いということもなく、そもそも繋がりにくと言われている中での発表だったので、あまり話題になりませんでした。プラン名もわかりづらいですし。

◆今年最大の衝撃、スマホメーカー3社が撤退

 また、スマホメーカーの撤退が複数ありました。オシャレ家電で有名なバルミューダが「BALMUDA Phone」を1台限りで終了、スマホ事業から撤退しました。さらに、これまで様々な製品を出してきた京セラもスマホのコンシューマー事業を終息を発表(法人事業は継続)。その後、auから「TORQUE G06 KYG03」を発売しましたが、京セラとしてはTORQUEだけは続けていくとのこと。そして、トドメがFCNTの民事再生。すでに資本関係はないとはいえ、元富士通がこんなことになるなんて、と衝撃を受けました。気がつけば日本メーカーはソニーとシャープだけに……。

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華々しく登場したBALMUDA Phoneだったが……

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TORQUEの事業は継続すると京セラ

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FCNTはサステナビリティ(持続可能性)に配慮したスマホを出すも、それが最後になるなんて……

 日本メーカーはスマホから徐々にフェードアウトしていましたが、まさか同じ5月内に3社が撤退するのはモバイル業界史上初でしょう。たしかに今のスマホ事業は為替の問題や物価の上昇などで、利益を出すことが非常に難しいと言われています。とくに日本はiPhoneのシェアが6割と世界的に見て変わった市場です。

 残りの4割のパイを奪い合う状況なので、売り上げを伸ばすならグローバルでも販売しなければいけませんが、海外のAndroidはサムスン1強で残りを中国メーカーが占めています。グローバルのシェアには日本メーカーは残念ながら入りません。

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振り切った機能でファンが多いXperia

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ライカと組んで1インチセンサー搭載と、カメラに注力するAQUOS。senseシリーズは価格と性能のバランスが良く、中国メーカーに対抗する実力もある

 日本のAndroid市場も、Pixelが一番売れているのは日本というように、Pixelがシェアを広げています。OPPOやXiaomiといった中国メーカーが価格を武器に食い込み、海外ほどのシェアはありませんがサムスンも品質の高さで売り上げを伸ばしています。そんな中でのスマホメーカー3社の撤退は、今年一番大きなニュースです。

◆周りを囲まれた日本、2024年は打開の糸口を

 価格競争での殴り合いは中国メーカーに分がありますし、ハイエンドの高性能競争だとiPhoneやGalaxyを相手にしないといけません。PixelにはGoogle謹製という安心感・ブランド力があります。イギリスからNothing Phoneという黒船もやってきました。なんだか「信長の野望」の信長プレイかのように強敵に囲まれていますね。

 ソニーのXperia、シャープのAQUOS、そしてFCNTもLenovo傘下で復活しますから、2024年はこの3社でシェアを守って(伸ばして)ほしいものです。

 まだまだいろいろあったモバイル業界ですが、長くなるので筆者の印象に残ったことのみに限定させてもらいました。なにかと暗い話が多かった2023年のモバイル業界ですが、2024年は良い話を期待したいですね。

 それではみなさん、よいお年をお迎えください。

筆者紹介───スピーディー末岡

 アスキースマホ総研主席研究部員。速いものが好きなスペック厨で、スマホ選びはスペックの数字が優先。なので使うスマホは基本的にハイエンドメイン。クルマはスポーツカーが大好き、音楽はヘビーメタルが大好きと、全方位で速いものを好む傾向にある。スマホ以外では乗り物記事全般を担当している。

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