昨今のパーソナル・プロダクティビティ(個人生産性向上)のツールのはやりは、リーディングエッジ・テクノロジーのAIソフトとその対極にあるようなレガシーなキーボードだ。パーソナルコンピュータの入力装置として初めて本格的なキーボードが登場したのは、今から42年前のThe IBM PCの登場時期までさかのぼる。
キーボードのお話になると、個人の趣味や経験から様々な異論が噴出するのはいつものことだ。現在、開発者やプログラマーをはじめライターやゲーマーなどのほとんどの人がお世話になっているキーボードとそのキー配列は、その頃のIBMのキーボードをルーツとするものがほとんどだ。
先日、PFUからポインティングデバイスを搭載したHHKB Studioが登場した。この製品の人気を見ると、パソコンに関わる全ての人がとは言えないものの、歴史的に見て多くのパソコンユーザーが文字の入力装置としてのキーボードに極めて強い関心を示していることがよく分かる。
独チェリーのメカニカルキースイッチが登場後、いくつかの新しい動きがあった。これらには再び文字入力の生産性向上や、打鍵感の向上、eスポーツにおけるパフォーマンスの追求、オフィスでの静寂性指向などを目指す新たな動きなどが含まれる。ユニークなキースイッチが登場し普及した結果、市場が広がり多くのチェリー互換キースイッチが生れた。
そんな中のひとつが、中国のゲートロン(GATERON)だ。筆者はチェリーの熱心なファンのため、残念ながらまだゲートロンのキースイッチは使ったことがない。本筋のキーボード以外に、キースイッチを使ったテスターやガジェットの増加もキースイッチの認知には一役買っている。筆者もチェリーの青軸や緑軸を使って「Reboot Anytime」という指遊びガジェットの販売をいまだに続けている。
キースイッチを巨大化したガジェット
「Giant Switch Twister」を衝動買い
そんなキーボードのコア・コンポーネントであるキースイッチを巨大化したガジェットが、今回紹介するゲートロンの「Giant Switch Twister」だ。残念ながら、なぜかキーキャップがない。オプションでもキャッチワードやイニシアル的な文字を描いたキーキャップがあれば楽しそうなのに、極めて残念だ。現代なら3Dプリンターで楽しみながら解決することもできそうだ。
実は筆者はいまだにパッケージに書かれた「ミステリーボックス」という名称と、その実態が頭の中で結びつかないでいる。筆者的に言うなら「巨大なキースイッチの格好をしたルーレットのようなカプセルトイ」と言うところだ。なので今回も勝手に「キースイッチ・カプセルトイ」と命名した。以降、本コラムでは「Giant Switch Twister」のことをキースイッチ・カプセルトイと呼ぶ。

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