フランスの高音質音楽ストリーミングサービス「Qobuz」が、ついに日本国内でも12月からプレオープンする。
国内では「e-onkyo music」と統合運用されるが、これは2021年9月にe-onkyo musicをQobuzの母体であるフランスのXandrie S.A.が買収したことによるものだ。
Qobuzを「何と読むのか」困る方も多いかもしれない。国内では「コバズ」と書くようだ。ちなみに読み方は海外でも問題となるようで、Qobuzの公式YouTubeチャンネルでは"Ko-Buzz”と発音してほしいとして、発音の仕方をザ・フレーミング・リップスのヴォーカルであるウェイン・コインが解説した動画が公開されている。ほかのYouTubeのQobuz解説動画を見ても海外では"コーバズ"と伸ばしている人が多いように思う。Qobuzは2007年から続く、高音質音楽ストリーミングサービスの先駆者であり、TIDALと並んでよく知られているサービスだ。最大192kHz/24bitのストリーミングに加え、音源のダウンロード販売もしている。
国内でのストリーミングプランは、「Studio」(年間契約時、1280円/月から)と「Sublime」(年間契約時、1580円/月から)を用意。両方ともハイレゾストリーミングを楽しむことができるが、Sublimeではダウンロード販売の割引が適用される。またアカウント数によって、ソロ、デュオ、ファミリーと分かれている。詳細はQobuzサイト内の案内を確認していただきたい。
Apple MusicやAmazon Musicもあるが……
待望の国内サービス開始ではあるが、いまでは「Apple Music」や「Amazon Music」のハイレゾストリーミングもあるので、以前に比べるとそのインパクトは小さくなってはいる。
しかしながら、QobuzにはRoonやAudirvana Studioなどの高音質音楽再生ソフトと組み合わせられるというポイントがある。Apple MusicやAmazon Musicはブラウザーなどを介してパソコン上で聴けるが、オーディオシステムにストリーミング音源を組み込むときは、高音質の音楽再生ソフトウェアと統合されているほうが望ましい。Amazon Musicは一部統合されている場合があるが、Apple Musicの統合はかなり難しいだろう。
こういう状況がある中、QobuzやTIDALは、RoonやAudirvanaのような高音質音楽再生ソフトウェアと親和性の高いストリーミングサービスとして知られてきた。TIDALはいまだに国内で正式にサービスインしていないので、Qobuzが国内導入されたことによる意義は、PCオーディオシステムにハイレゾストリーミング配信を正式に組み込めるようになったという点にある。
それではQobuzをハイレゾで楽しむためにどの程度の通信速度が必要になるのだろうか。
以前Qobuzがブログに掲載したデータによれば、176.4kHzを24bitで配信する場合のビットレートは実測値で約4.8Mbpsということだ。同条件での非圧縮の通信速度を計算してみると約8.4Mbpsとなる。QobuzはFLACコーデックで可逆圧縮しているので、このことからQobuzにおけるFLACコーデックの圧縮率が約2:1であることがわかる。
ただし、FLACの圧縮率は曲によっても大きく変わり、Qobuzでの実測だと4割程度も変わることがあるという。もちろんインターネットの回線速度は一定ではなく、ストリーミング以外の通信もしなければならない。そのための目安として、Qobuzでは十分にハイレゾストリーミングを楽しむには20Mbps程度の接続速度が必要だと述べている。
この値は光回線などを導入した普通の家庭ならば問題ないと思う。気になる場合には、スピードテストアプリなどで導入前に確認しておく方が良いかもしれない。
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