「めちゃくちゃ売れてます!」
バルミューダ広報担当者はそう言って胸を張りました。
2021年、同社に岡嶋伸忠シェフが入社してから開発が始まった、「Pro」シリーズが好評を博しているからです。このシリーズは、「作る喜び」を感じられることをコンセプトにしたもの。これまでに2種類の製品が販売されています。
仕上げの焼き色をつけるサラマンダー機能を備えたトースター「BALMUDA The Toaster Pro」(3万5200円)は計画の150%を超える売上を記録。極厚鋼板を使用し、ステーキが美味しく焼けるというコンセプトのホットプレート「BALMUDA The Plate Pro」(4万2900円)も発売初週の出荷台数が5000台を超えるなど、想定外の売れ行きを見せています。
「目標にしていた計画より上振れで売れています。4万円くらいするものなので、そこまで売れないだろうなと台数は見込んでいませんでしたが、予想をくつがえされました」(バルミューダ広報)
なかでもホットプレートで想定外だったのは、初日から「たこ焼きプレート」や「フチ付きプレートと専用フタ」などのオプションを加えたフルセットが売れたこと。生産が追いついていない状況に「私たちとしても意外でした」と驚きを見せていました。
40〜50代の男性にヒット
ヒットの背景にあったのは購入者層の変化です。
これまで同社のトースター購入者層はほとんどが女性でしたが、Proシリーズは逆に男性が多くを占めているそうです。特にホットプレートは40〜50代の男性が多かったということ。
「SNSでも、『週末になるとお父さんがあれで料理をしたくなる』『普段料理しない人がしたくなる』といった書き込みが多いです」(同社広報)
普段づかいのホットプレートとしては4万円は高価ですが、鉄板焼き風のステーキなど、キャンプ料理のような非日常感が、“週末料理”にあこがれる男性層にささった格好です。
量販店のホットプレート売り場では象印、abien、バルミューダの3社が横並びで売られていることが多いですが、女性客メインの売り場のなか、バルミューダは異端の存在。ナイフを直接入れられるバルミューダのホットプレートは、店員がその場でステーキを焼く実演販売が好評だそうです。
関西圏にもバルミューダ
ヒットした「BALMUDA The Toaster Pro」は、地道な改良も進められています。11月2日のリニューアルでは、ボイラーヒーターと上下のヒーターの出力調整がより精密になったうえ、トーストの裏面まで均一に焼けるよう波形の焼き網に変更されました。
カラーでは女性からの要望が多かったというホワイトモデルを追加しました。さらに、直営店と直販サイト限定の「ブラッククローム」モデルも登場。これまでの製品との統一感を持たせ、ファン心理に訴えます。
さらに京都では、「Toast & Rebake shop in Kyoto」という初のポップアップショップを限定開店。あんバタートーストとチーズトーストのセット、京都人気ベーカリーのリベイクパンなどを提供し、関西圏での知名度向上と「Pro」シリーズの売上げアップを狙いました。
スマートフォン事業からの撤退や、物価高や円安といった逆風など、暗いニュースの多かったバルミューダにとって、Proシリーズのヒットは久しぶりの明るい話題に。今後はProシリーズ製品ラインナップの拡充にも期待できそうです。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。6歳児と2歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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