今回のひとこと
「キヤノンは、カメラや事務機の会社だと言われてきた。8年前は確かにそうだった。しかし、事業ポートフォリオを大幅に入れ替え、成長力がある事業を加えた。キヤノンの新たな姿を見てもらいたい」
キヤノングループ最大のイベントである「Canon EXPO 2023」が、2023年10月19日、20日、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜ノースで開催された。
Canon EXPO は、2000年から、5年に一度のペースで開催されており、開催年は、同社が取り組む5カ年経営計画の「グローバル優良企業グループ構想」の最終年度にあたり、取り組みの集大成を示すだけでなく、次の5年に向けて、キヤノンの方向性を示す最新製品や技術、ソリューションなどを披露する場に位置づけてきた。「グローバル優良企業グループ構想」は、現在、2025年を最終年度とする「フェーズⅥ」を推進中だ。
この流れに沿えば、「フェーズV」の最終年度にあたる2020年に、Canon EXPO 2020として開催が予定されていたはずだが、コロナ禍により延期。今回のCanon EXPO 2023は、2015年以来、実に8年ぶりの開催となった。
Canon EXPO 2023のオープニングセレモニー後、記者の質問に答えたキヤノンの御手洗冨士夫会長兼社長 CEOは、「開催が3年伸びたが、この3年間で、新たなものを加えることができ、かえってよかったと思っている」とし、「キヤノンは、カメラと事務機器のメーカーだと言われてきた。確かに8年前はそうだった。しかし、カメラも事務機も市場成長率が鈍ったいま、これまでの経営リソースを生かしながら、事業ポートフォリオを大幅に入れ替え、新規性があり、成長力があるものを事業に加え、姿を大きく変えた。今回のCanon EXPO 2023で、キヤノンの新たな姿を見てもらいたい」と語った。
4つの産業別事業グループ
御手洗会長兼社長 CEOが語る「キヤノンの新たな姿」とは、4つの産業別事業グループによる取り組みによって示される。
キヤノンは、2021年からスタートした「グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ」において、「プリンティング」、「イメージング」、「メディカル」、「インダストリアル」の4つの産業別事業グループへと組織を再編している。
Canon EXPO 2023の開催に先立ち、10月17日に行われた基調講演で、御手洗会長兼社長 CEOは、約4000人の聴講者を前に、その点について、時間を割いて説明した。
「デジタル時代に対応し、AIの加速度的な進化を見据え、M&Aによって獲得した新たな事業を加え、事業ポートフォリオを大幅に入れ替えてきた。この力を最大限に生かすために、産業別事業グループへと再編した。それぞれが将来技術の開発を進め、連携をしながら、会社全体の事業拡大を推進していくことになる」と語り、4つの産業別事業グループそれぞれの新たな姿を示してみせた。
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