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印南敦史の「ベストセラーを読む」 第7回

『ChatGPTの全貌 何がすごくて、何が危険なのか?』(岡嶋裕史 著、光文社新書)を読む

ChatGPTがすごくて危険なのは、ウソでも「もっともらしく」言えてしまうところ

2023年10月05日 07時00分更新

文● 印南敦史 編集●ASCII

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 ChatGPTが話題だ。とはいえ、「彗星の如く登場した」かのようなこのチャットボットは、そもそもなにがすごいのだろうか?

どうやら膨大な知識と会話のデータをそれは保有しているようで、それらを駆使しながら分野横断的な会話にしてみせる技量があるようだ。ただし、AIにさほど詳しくない私が漠然と理解できるのはそのあたりまで。そのため、「ChatGPTはここが違う、これができる」という部分を、もう少し知ってみたいと思っていた。

 だからこそ、『ChatGPTの全貌 何がすごくて、何が危険なのか?』(岡嶋裕史 著、光文社新書)は私のように頼りない人間には格好のテキストとなったのだ。専門的で難解な部分もあったが、“ChatGPTの入り口でウロウロしている頼りない人間”が抱く「基本的なことを知りたい」というニーズには応えてくれたからだ。

Image from Amazon.co.jp
ChatGPTの全貌 何がすごくて、何が危険なのか? (光文社新書 1267)

あたかも会話をしているかのように自然な印象を抱く

 たとえば上記の「ここが違う」について解説するにあたり、まずは既存のチャットボットとの違いが明らかにされている。ご存知のとおり従来のボットは1回のやりとりで終わるものであり、ひとの前の発言を記憶したりはしない。

 対してChatGPTは、記憶していた文脈に基づいてその後のやりとりを進めていく。それどころかこいつは、問いかけに対して文体や語調、語彙までを整えてくれる。既存のチャットボットでは考えられなかったことだ。だから、利用者は、あたかも会話をしているかのように自然な印象を抱くわけだ。

しかし、ChatGPTは特に指示がなくても、その文章に相応しい文体や語調を選択してくる。語彙力や感情、その分野特有の言い回しにまつわるパラメータを持っているということである(当然ではあるが、それは感情を持っていることを意味しない)。これらの相乗効果により、極めて人間らしい反応として仕上がっているのである。(32ページより)

 ひと昔前、旧来の翻訳サービスが戻してくる“日本語として破綻した素っ頓狂な文章”に戸惑った経験はどなたにもあるだろう。その際の失望感は決して小さくなかったはずだが、だからなおさら、会話のように自然な返答を投げかけてくるChatGPTに感動するのかもしれない。

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