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西田宗千佳の「AIトレンドトラッキング」 第5回

AIの「政治・地政学リスク」が鮮明になってきた|AIニュースまとめて解説

2023年09月21日 07時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●ASCII

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アマゾン「生成AIを使ったKindleセルフ出版」に申告義務(9月11日)

 Kindleのセルフパブリッシングサービス「Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)」には、すでに大量の「生成AIによるコンテンツ」が登録されている。それらのほとんどは、著作権上の問題を精査したものではないし、内容についても精査されているとは限らない。

 それを言えば、人間が作ったものだからといって問題ないとは限らないのだが、生成AIによって大量に作られるのとでは話が異なる。

 ルール的には、生成AIだけを使って生成したコンテンツも、生成AIで作ったものを人が大幅に修正したものも「申告の必要あり」とされている。

 前者と後者では扱いが異なっても良いように思えるが、「人間による修正の度合い」を自己申告以外で判断する方法がない以上、「生成AIを使っていたら要申告」とまとめて扱うしかない、ということなのだろう。

 一方で、AIに内容やエラーのチェックをしてもらった場合、いわゆるアイデアの「壁打ち」相手として生成AIを使った場合などは申告する必要がない。主体は明確に人間側だからだ。

 Amazonとしては生成AI関連を一律に禁止することもできただろうが、KDPがそうした判断を下すと、生成AIコンテンツ自体に必要以上の逆風が吹く可能性が高い。

 そこまで考えると、KDPの下した判断は妥当な落としどころと考えられる。

アドビ、生成AI「Firefly」を一般公開。クレジット制導入、商用利用可能に(9月14日)

 2週間前に「ベータとしての一般公開」があったばかりだが、想像以上に「商用利用可能」な段階に到達した。これからはクリエイターも、普通に「自分の作品の一部にFireflyで生成したコンテンツが入っていく」時代になるのだろう。

 ポイントは、この段階で「コンテンツ認証(CAI)」が入ったことだろう。生成AIで作ろうが、人間が作ろうが、双方のコラボレーションだろうがコンテンツには違いない。そこで「どういう作業を誰がしたのか」を明示することで、コンテンツを利用する側の人間に判断を委ねることができる。

 電子透かしやCAIでの来歴・生成AI利用情報記録は、今後必須のものとなっていくと予想している。

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