グーグルは9月19日、同社の大規模言語モデル「PaLM 2」を利用したチャット型AI「Bard」をアップデート、これまで英語のみで提供されていたGoogleレンズで画像をアップロードする機能などを多言語・他地域に拡大したほか、回答をダブルチェックできる「Googleで検索」機能なども強化された。
また、英語のみ対応になるが、GmailやYouTubeなどグーグルの他のサービスとBardの連携が可能になる「Bard Extensions」機能も追加されている。
Googleレンズで写真を使った質問ができる
これまで英語のみで提供されてきた、Googleレンズを使って画像(JPEG、PNG、WebPに対応)をアップロードし、その画像とテキストを組み合わせて質問ができる機能が日本でも利用可能になった。
デモ動画では紅葉するイチョウ並木の写真をアップロードし「この写真みたいな景色が見れるおすすめの場所を教えて」という質問にBardが「明治神宮外苑」など具体的な場所を回答している。
また、画像を含んだ回答もできるようになった。デモ動画では植物の写真を使用して回答している様子がわかる。
ただし、人物が含まれる画像は表示されないようだ。恐らく肖像権など権利処理の問題だろう。
書き換えツールを使って、回答の長さや口調を簡単に変更できる機能も追加された。選べるのは「短くする」「長くする」「シンプルにする」「カジュアルな表現にする」「専門的な表現にする」の5つだ。
公開リンクが作成可能に
Bardとの会話の内容を他の人にも見てもらえる「公開リンク」を作成する機能も追加された。
作成するには、回答の下に表示されるリンクアイコンから「共有」を選べばよい。
確認画面が表示されるので、確認して「公開リンクを作成」をクリックする。この画面で見出しを変更することも可能だ。
作成されたリンクはコピーして他の人に教えたり、FacebookやXでシェアできる。
さらに、自分以外の人が作製した公開リンクから新たに会話をスタートすることも可能。共有された会話の文脈を踏まえてより深掘りした質問ができる。
GmailやYouTubeなどと連携できる「Bard Extensions」機能(英語のみ)
新機能の目玉が、「Gmail」「Googleドキュメント」「Googleドライブ」「Google マップ」「YouTube」などのGoogleのアプリやサービスとの連携を可能にする「Bard Extensions」機能だ。
現在は英語にしか対応していないため、利用するにはGoogleアカウント(Chromeではない)の言語設定を英語にする必要がある。
YouTubeで公開されているデモ動画では、Gmailのメールボックスから特定の話題に関するメールだけを抽出して要約を作製したり、参考になるYouTube動画をそのまま回答に埋め込んだり、「Googleフライト」で航空券を検索したりする様子が紹介されている。
「Gmailから全員に都合の良い日付を選んだ上で、リアルタイムのフライトとホテルの情報を検索する」といった複数のツールにまたがった情報源を参照して解答することも可能だ。
英語版ではさらに「G」アイコンをクリックすることで、Bardが回答を読み上げ、それを裏付けるコンテンツがウェブ上に存在するかどうかを検索して確認する「回答の再確認(ダブルチェック)」機能も実装されている。
強調表示された語句をクリックすることで、検索された裏付け情報もしくは矛盾情報の詳細を確認できる。
なお、Bardの回答には個人情報が含まれることもあるが、その内容が他人に閲覧されたり、ターゲティング広告や大規模言語モデルのトレーニングに使われることはないという。
これらの新機能はすべて、ユーザーのフィードバックに基づいて、最先端の強化学習手法でトレーニングされたグーグルの大規模言語モデル「PaLM 2」の最新アップデートによって可能になったという。