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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 第55回

【後編】クランチロールCOO ギータ・レバプラガダ氏ロングインタビュー

日本アニメだけで有料会員数1200万人突破した「クランチロール」が作る未来

2023年10月15日 15時00分更新

文● 渡辺由美子 編集●ASCII/村山剛史

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■ファンとクリエイターとの接点を作りたい

―― アワードはこれまで米国内で開催されていたそうですね。そして今年(2023年)には日本・東京で開催されました。また、2024年も日本開催が決定したと報じられています。

 日本での開催は、日本アニメの聖地的な側面はあるでしょうが、あの大会場に北米からスタッフやセレブなどを多数来日させるとなると、遠方ゆえコストもかかると思います。なぜ日本での開催を選んだのでしょうか。

ギータ 海外のアニメファンは、日本のアニメクリエイターや原作者にとても興味を持っています。それぞれのファンごとに好きなクリエイターやスタジオがあります。

 だから『自分が一番好きなクリエイターを賞で讃えて、クリエイターがスピーチするところが見たい』という気持ちを持っているんです。

 同じく、世界中のアニメファンは“アニメのバックステージ(舞台裏と制作背景)”に興味を持っています。私たちもクリエイターが登壇するところをファンに見てもらえるよう、日本の東京で開催した面もあるのです。この分野で実績のあるソニー・ミュージックソリューションズによるプロデュースのおかげもあってイベントを成功に導くことができました。

最優秀コメディ作品賞に輝いた『SPY FAMILY』古橋一浩監督、そして授与者のケンドーコバヤシ氏(「クランチロール・アニメアワード 2023」より)

―― なるほど。海外からの来日に費用がかかるだろうと思っていましたが、400名近い日本のクリエイターやアニメ関係者を海外に招待することに比べたら、式典自体を日本で開催したほうがコストパフォーマンスも良いですね(笑) では次の「クランチロール・アニメアワード 2024」ではどういったことを計画されていますか。

ギータ 今まさに、クランチロール・アニメアワード 2024に向けて企画を練っている最中です。前回のアワードから学んだことや反省点もたくさんあります。次の目標は、グローバルな世界中のファンにもっと賞に対して関わってもらうことです。それをどうしたら実現できるかを考えています。

 私たちはアワードも含め“ファンとクリエイターを同じ空間に集める”ことを意識的にやっていきたいと考えています。世界中のファンに関わってもらうことによって、クリエイターたちも、ファンの人たちとのつながりを感じられると思うので。

 たとえばアワードでは、ファンによる作品投票と、結果を発表するアワードの中継動画によって、両者が同じ空間に集っていると感じられるようになっています。

■ファンは“クリエイターの日常”を知りたい

―― アワードはファンが関与する祭典ですが、日本のクリエイターにも“ファンとのつながり”を感じて欲しいと。

ギータ これは新しいチャレンジです。国や地域ごとに「現地語のSNSやコミュニティー」を作るというお話をしましたが、DiscordチャンネルやTikTokなども使って、ファンにクリエイターの日常や裏話など、「クリエイターにはこういう面があるんだ」というような、アニメを作っている人の別の面を見せられるような施策を実行していきたいと思っています。

―― “クリエイターの日常”に着目する視点は興味深いです。SNS展開は、ファンが持つ、クリエイターのことを知りたいニーズにも合致するということですね。

ギータ はい。ファンのみなさんに、これまでクリエイターがあまり見せなかった本人の日常などをソーシャルで見せていく。『すずめの戸締まり』の新海誠監督も、海外のさまざまな国でそうしたプロジェクトやイベントを実施していました。

 そこでクランチロールでもクリエイターに関するプロジェクトをサポートしていきたいと思っています。

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