東京大学、カルテック、犬山動物総合医療センターの共同研究チームは、光触媒技術により、溶液あるいは乾燥状態のイヌアレルゲン(人に犬アレルギーを引き起こす原因物質)とネコアレルゲン(同)を分解することに成功。光触媒によって動物アレルゲンが分解できることを初めて実証した。
東京大学、カルテック、犬山動物総合医療センターの共同研究チームは、光触媒技術により、溶液あるいは乾燥状態のイヌアレルゲン(人に犬アレルギーを引き起こす原因物質)とネコアレルゲン(同)を分解することに成功。光触媒によって動物アレルゲンが分解できることを初めて実証した。 研究チームは今回、1センチメートル角の酸化チタン型光触媒ガラスシートにイヌ皮屑粗抽出物を滴下。405ナノメートル(nm、1nmは10-9メートル)の可視光で励起して反応させることで、液体中の主要なイヌアレルゲンである「Can f1」が24時間で98.3%まで分解されることを明らかにした。同様にネコ皮屑粗抽出物を光触媒で24時間処理することで、主要なネコアレルゲンである「Fel d1」を、24時間で93.6~94.4%まで分解できた。 イヌアレルゲンとネコアレルゲンは乾燥した状態で空気中に浮遊し、人の体内に取り込まれるため、乾燥条件下における効果を検証。酸化チタン型光触媒はCan f1とFel d1をそれぞれ92.8%と59.2~68.4%まで分解し、犬と猫のアレルゲンとアレルギーを引き起こす「ヒト IgE」との結合性が、それぞれ104.6%と108.6%まで減少することがわかった。 犬アレルギーと猫アレルギーの患者は年々増え続けている。酸化チタン型光触媒が犬および猫のアレルゲンを分解し、アレルゲン性を喪失させることを示す今回の成果は、人間とペットのパートナーシップを改善するのに役立つことが期待される。研究論文は、トキックス(Toxics)に2023年8月21日付けで掲載された。(中條)