長年のAndroidスマホユーザーには
慣れのために多少の努力も必要
いろいろ目新しいチャレンジの多いNothing Phone (2)だが、ずっと長くAndroidスマホを使っているユーザーには数多くの踏み絵が仕込まれている。シンプルでクールなモノクロ壁紙やピクセルアイコンの取捨、新しくはないがジェスチャーナビゲーション、アプリラベルの有無、お知らせ機能としてのGlyphの扱いなどがその一例だろう。
2008年に登場した世界初のAndroidスマートフォンのT-Mobile G1、翌年の日本初のAndroidスマホ(「HT-03A」)から使っている身には、Nothing Phone (2)の価値を使い切るには慣れのために多少の努力も必要だというのが結論だ。
先行してLeitz Phone 2とGalaxy Z Fold 4を使っている筆者だが、普段使いスマホとして新しく加わったNothing Phone (2)だけが、3台の中では唯一FeliCaのサポートがないモデルとなってしまった。分かっていたことだがいろいろ不便も多い。
キャッシュレス決済としてはPayPayやNFC機能だけで使えるVisaのタッチ決済などによる解決策はあるが、今のところ国内交通機関の多くはVisaのタッチ決済では乗れない。しばらくの間はSuica(FeliCa)が必要だ。ネットを回遊していて、なんとNothing Phone (2)の背面にSuicaを常時取り付けることのできるクリアなケースを発見した。
Nothing Phone (2)の多くの新しいチャレンジに心惹かれながらも、結局は従来の慣れた機種と同じく使い勝手を第一に考え、この際オシャレなモノクロインターフェースは諦め、デバイス操作は3ボタンナビゲーションに戻し、ミーハーで楽しいGlyphネオンの3分の2近くを目隠ししてしまう、Suica対応のケースを使おうかと迷ってしまう。
今回、Nothing Phone (2)は良い意味でも悪い意味でも「使い勝手とは何か?」「ユーザーインターフェースとは何か?」「デバイスにおける慣れとは何か?」を久し振りに考えさせてくれたスマホだった。デバイスに対する筆者の考えは今も「慣れに勝るUIなし」は変わっていない。
すでに15年の歴史のあるスマホの世界。壁紙やアプリアイコンはカラーが当たり前で展開発展してきた世界だ。そこに従来のスマホが達成できなかった新しい発想とクールなデザイン、チャレンジマインドを担いで突然登場したNothing Phoneは、スッキリと過去との決別をして今日から新しく使う覚悟があれば素晴らしいスマホに違いない。
最終的な結論はまだまだ出せないが、当面、ミーハーな筆者は格好良くてクールな色数の少ないシックなカラー壁紙を使いホーム画面の1ページ目には、世界中で共通のアプリだけのモノクロ・ピクセルの超シンプルなアイコンを使って「見栄スマホ」を実践してみるつもりだ。
そしてホーム画面2ページ目以降にはローカルアプリのカラフルで個性はあるが、統一性のないアイコンを従来通り一杯並べて「実用一番、見栄えは忘れる」のイメージで進めようと思っている。最後の難関はSuicaをどうするかだが、これは未だに決めかねている。
Nothing Phone (2)は製作者の思い通りに使えば間違いなくシャレたクールなスマホになるが、個人が過去から引き継いできた使用環境をNothing Phone (2)の提供する環境で使いこなそうとすると、大きな軋轢が生じるスマホだ。
できるなら初期設定をやり直して「使用言語は英語」「居住地は日本」「アプリは英語で提供されるグローバルアプリだけ」を使っていれば幸福感に浸れるスマホだ。うっかり従来のスマホの使い勝手を優先すると、限りなく想定と違うダサいスマホができ上がってしまうだろう。Nothing Phone (2)は、何にも気にせずおおらかに使うか作り手の作戦に乗ってタイトに楽しむかのいずれかだ。
今回の衝動買い
・アイテム:Nothing「Nothing Phone (2)」256GB Whiteモデル
・購入:ヨドバシ.com
・価格:9万9800円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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