ヤマハ発動機は8月25日、CO2削減、環境負荷低減に対する取り組みとして、植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂を、水上オートバイ「ウェーブランナー」およびウォータージェット推進機を搭載する「スポーツボート」の2024年モデルへ採用し、北米にて販売することを発表した。本素材の輸送機器部品の量産化は、世界初としている。
CNF強化樹脂部品は、エンジン部品の一部であるエンジンカバーに採用。本製品は、ヤマハ発動機が日本製紙との協業によって開発を進めてきたもの。将来的にはマリン製品のみならず、種々のセルロースファイバーの活用を視野に入れ、二輪車などを含めた同社の幅広い製品群への展開を検討しているという。
CNF強化樹脂は、木質資源を活用したバイオマス素材であるCNFを、ポリプロピレンなどの樹脂へ混練・分散することにより製造される高強度な新素材。既存樹脂材料と比較し、25%以上の軽量化が図れるという。また、マテリアルリサイクル性に優れるため、プラスチック使用量の削減とCO2を主とした温暖化ガス排出削減につながるとしている。
本素材を使用した新エンジンカバーは、海水と熱による過酷な環境下の使用を想定するため、既存材料と同等以上の強度など材料物性を確保。既存材料と比較して25%以上軽量化していることに加えて、無駄をそぎ落とした新デザインによってさらに樹脂の使用量を減らし、軽量化に寄与している。また、リサイクル性に優れており、繰り返し使用することによってプラスチック使用量を削減できるという。
今回、従来のエンジンカバーのデザインを刷新し、力強さのみならず先進性、環境への配慮も表現。よりエンジンを積極的かつ魅力的に見せる構成とし、ストラットタワーバーを想起させる「クロスバーコンセプト」を訴求する。新型高出力自然吸気エンジン(HOエンジン)は、水上オートバイ ウェーブランナーの3シリーズ5機種、スポーツボートの5シリーズ17機種に導入する。