ファーウェイが8月に中国で開催したイベント「Huawei Developer Conference 2023」で、独自OS「HarmonyOS」の最新版を発表した。音声アシスタントの「Celia」が生成AIでパワーアップするなどの特徴が加わった。
HarmonyOS 4では音声アシスタント「Celia」を強化
大規模言語モデルでトレーニング
Huawei Developer Conferenceはコンシューマー端末向けの年次開発者イベントで、今年は8月4日に広東省東莞市で開幕した。「HarmonyOS 4」は8月6日に、コンシューマー事業部CEO兼エグゼクティブディレクターのRichard Yu氏から発表された。
HarmonyOSは2022年7月に発表された「HarmonyOS 3」に続く、メジャーリリースとなる。カスタマイズ性、通知センター、ウィジェットの「Card」、絵文字などが強化された。
最大の進化点と言えるのが、音声アシスタント「Celia」のパワーアップだ。ファーウェイの大規模言語モデル(LLM)である「Pangu」を土台とし、ChatGPTのように自然言語で問い合わせができ、検索したり、背景を変えるなどの操作を音声で指示できる。テキストだけでなく、画像やドキュメントも利用でき、翻訳やメール本文の作成なども可能という。
性能ではArk Engineを強化することで20%改善するとのこと。これにより、アプリの起動が高速になったり、アニメーションがスムーズになる。消費電力効率も30%改善する。
HarmonyOS 4はパブリックプレビューとして同日公開。最新の折りたたみ式「HUAWEI Mate X3」やフラッグシップの最新モデル「HUAWEI P60」など、30以上のデバイスで試すことができる。対象となるデバイスはその後増やす予定だ。
中国市場でHarmonyOSのシェアは8%
Yu氏はHarmonyOSのエコシステムについても触れている
HarmonyOSベースのデバイスは7億台以上、220万人の開発者がHarmonyOS上で動くアプリやサービスを開発しているという。APIコール数は590億回/日。HarmonyOSのブランド認知は2021年2月は50%だったのが、2023年6月には85%に上昇していると語る。
HarmonyOSは2019年8月に開催された同イベントで発表された。米国がファーウェイをエンティティリストに入れてから数ヵ月後のことだ。Yu氏は「発表から4年。HarmonyOSは長い道のりを経てここまできた。さまざまな課題を乗り越え、素晴らしい成果を上げることができた」と話す。
海外から5G向け半導体が入手できない中で、最先端ではないハードウェアでもスムーズに最新の体験を提供するにあたり、HarmonyOSは重要な役割を担ってきた。
数字も決して悪くないようだ。HarmonyOSのシェアはグローバルでは2%(2023年第1四半期、Counterpoint調べ https://www.counterpointresearch.com/global-smartphone-os-market-share/)、中国では同期8%。ファーウェイの中国スマートフォン市場におけるシェアは2023年第2四半期、前年同期比58%増の11.3%のシェアで6位(Counterpoint調べ、https://www.counterpointresearch.com/china-smartphone-market-share-q2-2023/)となっている。
Yu氏は基調講演で、ハイエンドスマートフォンに限定してのファーウェイのシェアは2位、スマートウェアラブルは1位(ともに中国市場)と胸を張った。
この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ