NTTドコモとNTTコミュニケーションズ(NTT Com)は8月7日、画像認識AIを用いて遠隔から建設現場を仮想的に巡回できるシステムにて、現場作業の段取りを妨げる資材を未然に検出し、作業を阻害する資材の移動指示などを作業員に共有する実証実験に成功したことを発表した。
本システムは、あらかじめ利用期間を設定した資材ヤード、工事区画、搬入口などの建設現場のエリアにおいて、画像認識AIを用いて作業を阻害する資材を検出するとともに、作業員へ作業を阻害する資材に関わる対応事項および対応期限を共有する機能を提供する。
具体的には、5分ごとに固定カメラにて撮影する対象エリアの画像から、画像認識AIを用いて資材を検出し、登録済みの対象エリアの情報と利用期間を照らし合わせ、作業を阻害する資材か否かを判定し、必要に応じ、作業員に移動場所や移動期日を添えて対応を指示する。これにより、資材ヤードなどでの円滑で効率的な作業員間のコミュニケーションを支援する。
今回の実証実験では、建設中の「ドコモ代々木第二ビル」の現場において、建設現場の搬入口とエレベーター前にそれぞれ固定カメラを1台ずつ設置し、現場から離れた場所にあるPCから本システム上で作業を阻害する資材を検出した。
画像認識AIにより検出した資材に対し、空間予約との競合を確認の上、作業を阻害する資材について他の作業員に移動場所や移動期日などを添えて対応を指示するとともに、作業員間で作業指示を共有できることを確認した。
結果として、システムが資材として検出した物体のうち、実際に資材であった確率(適合率)が90%以上、実際の資材のうち、システムが資材として検出した確率(再現率)が80%以上で遠隔から建設現場の段取りを妨げる資材を未然に検出する技術の有効性を確認したという。遠隔から建設現場で作業を阻害する資材をAIにより未然に検出する技術の確立は日本初としている。
ドコモおよびNTT Comは、本システムを高度化した上で、NTT Comが提供する「ドコモ建設現場IoTソリューション」の「段八エリア」における新しい機能として、現場巡回業務における現場監督の巡回作業の負担軽減や作業員の長時間労働削減に貢献し、2024年度の実用化を目指す。さらに、デジタルツインコンピューティングを活用して、現場のデジタルツインを実現していくという。