第283回 SORACOM公式ブログ

ソラコム公式ブログ

ネットワークカメラをクラウドに繋ぐ新たな選択肢。メディア転送サービスSORACOM Relayを発表

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 本記事はソラコムが提供する「SORACOM公式ブログ」に掲載された「ネットワークカメラをクラウドに繋ぐ新たな選択肢。メディア転送サービス SORACOM Relay を発表」を再編集したものです。

こんにちは、ソラコムでプロダクトマネージャーを担当している清水 (yuta) です。

このエントリではソラコムのIoTカンファレンスDiscovery 2023にて発表された新サービス、SORACOM Relayについて紹介します。

SORACOM Relay とは

SORACOM Relay (ソラコムリレー)はRTSPに対応したネットワークカメラの映像・音声を、オンデマンドに、SORACOM 経由で安全にクラウドに転送するサービスです。映像をカメラから受け取り、それを活用するクラウドに受け渡す行為を表現するワードである「リレー」をサービス名に選びました。

RTSP (Real Time Streaming Protocol)はネットワークカメラなどから映像・音声データの配信を制御するときに用いられるプロトコルです。ネットワークカメラがクライアントからの要求に応じて映像をストリーミングします。

RTSPを使用する場合、ネットワークカメラに対して動画のストリーミング要求をするクライアントが必要になります。NVR(ネットワークビデオレコーダー)やVMS(ビデオマネジメントソフトウェア/システム)を導入し、カメラからの映像をストリーミングで受け取ってストレージに保存する構成が一般的です。この場合、カメラと NVR や VMS はローカルネットワーク内で接続される場合がほとんどです。一方、クラウドカメラと呼ばれる、ネットワークカメラがインターネット経由で映像を直接クラウドに録画する構成も普及が進んでいます。この場合、送信先に合わせた独自のファームウェアをカメラにインストールする必要があったり、プリインストールされて特定のサービス専用の製品として販売されていたりします。

SORACOM RelayはSORACOMプラットフォーム上で動作し、SORACOMネットワーク経由でネットワークカメラに接続します。これによって RTSP 経由でカメラに接続し、クラウドにデータを転送するという構成を実現しています。オンプレミスに構築されている既設のネットワークカメラや、独自のファームウェアを導入できないネットワークカメラをクラウドと接続して活用いただけるようになります。

SORACOM Relay のもう一つの大きな特徴は「オンデマンド」です。
ネットワークカメラは常時録画のユースケースが主流ですが、SORACOM Relayは必要なときだけ動作するオンデマンドの仕組みになっています。1回の接続時間は最長8時間となっています。これにより、クラウド保存のコストを節約することが可能です。

使い方

SORACOM Relay をお試しいただくには、以下のものが必要です。

  • SORACOM Relay Limited Preview へのお申し込み
  • H.264 エンコードされた映像を配信できる RTSP サーバー
  • SORACOM Air または SORACOM Arc を利用できるネットワーク環境

現在、SORACOM RelayはLimited Previewで提供しています。ユーザーコンソールよりお申し込みください。お申し込みいただいた方には、提供前に当社よりユースケースなどをヒアリングさせていただく場合がございます。ご利用用途やお申し込みの状況によっては、ご提供までにお時間をいただいたり、ご提供ができない場合がございます。予めご了承ください。

手軽に試すには、ソラカメ(ATOM Cam 2)と オープンソース VPN「WireGuard」に対応したルーターの組み合わせがおすすめです。まず、WireGuard対応ルーターにSORACOM Arcを設定し、ATOM Cam 2へのポートフォワーディングを設定します。その後、ATOM Cam 2のRTSPサーバーにSORACOM Relay経由で接続し、映像を取得します。

SORACOM Relayが映像を転送する宛先は現在 4つの選択肢の中から選べます。

  • SORACOM Harvest Files
  • Amazon Kinesis Video Streams (ソラコム管理)
  • Amazon Kinesis Video Streams
  • Amazon S3

まずは、ソラコムが提供するファイル保存サービスであるSORACOM Harvest Filesです。30秒ごとに区切られた TSファイルがアップロードされます。システムをソラコムで完結したいお客様、とりあえず試してみたいというお客様におすすめです。

次はAmazon Kinesis Video Streams(ソラコム管理)です。SORACOMが所有するAWSアカウントのAmazon Kinesis Video Streamsにデータを転送し、HLSセッション経由で映像をストリーミングできます。構築コストを抑えながら、リアルタイムに映像を確認、処理したいお客様におすすめです。

最後は2つまとめて紹介します。Amazon Kinesis Video StreamsとAmazon S3です。これらはお客様にご準備いただく環境です。AWSのIAMポリシー、信頼ポリシーでSORACOMのAWSアカウントからの接続を許可いただく必要があります。AWS 上の様々なインテグレーションにご活用ください。

ご利用料金

SORACOM Relayの機能はLimited Preview期間中は無料で提供します。SORACOM Relay経由でご利用いただいたSORACOM Air、SORACOM Arc、SORACOM Harvest Files などのご利用料金は無料になりませんので、ご注意ください。

まとめ

本記事ではDiscovery 2023で発表された新サービス、メディア転送サービス SORACOM Relayをご紹介しました。SORACOM Relay はネットワークカメラへの安全なアクセス手段を提供します。既存の設備のクラウド活用や、今まで実現できなかったユースケースの実現につながることを願っています。

また、Limited Preview での提供には、お客様の要望を取り入れてサービスをより使いやすく、大胆に進化させていきたいという思いを込めています。ぜひ皆様のフィードバックを聞かせていただけたら幸いです。

― ソラコム Product Manager 清水 (yuta)

投稿 ネットワークカメラをクラウドに繋ぐ新たな選択肢。メディア転送サービス SORACOM Relay を発表SORACOM公式ブログ に最初に表示されました。

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