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バイオエタノールの電解効率100%燃焼に成功=京大など

2023年06月06日 06時49分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学と大阪大学の共同研究チームは、酢酸菌由来のアルコール脱水素酵素およびアルデヒド脱水素酵素を用いた、高出力かつ高効率な生物電気化学カスケード反応を実現。穀物や木材などの生物資源を発酵させて製造したバイオエタノールを電解効率100%で燃焼させることに成功した。電解効率は、電気化学反応によって生じる電気量を基準として、反応生成物の物質量を電気量に換算したときの割合で、値が100%に近いほど副反応が少ないことを意味する。

京都大学と大阪大学の共同研究チームは、酢酸菌由来のアルコール脱水素酵素およびアルデヒド脱水素酵素を用いた、高出力かつ高効率な生物電気化学カスケード反応を実現。穀物や木材などの生物資源を発酵させて製造したバイオエタノールを電解効率100%で燃焼させることに成功した。電解効率は、電気化学反応によって生じる電気量を基準として、反応生成物の物質量を電気量に換算したときの割合で、値が100%に近いほど副反応が少ないことを意味する。 化石燃料に代わる燃料から高効率かつ高速に電気エネルギーを取り出すことは喫緊の課題となっている。研究チームは、再生可能エネルギーであるバイオエタノールの物質-エネルギー変換において、酢酸菌の呼吸鎖電子伝達系を構成する酵素である、アルコール脱水素酵素(エタノールをアセトアルデヒドに酸化する酵素)とアルデヒド脱水素酵素(アセトアルデヒドを酢酸に酸化する酵素)に注目。クライオ電子顕微鏡観察や単粒子像解析を実施し、両者についてそれぞれ2.5Å(オングストローム、100億分の1メートル)、2.7Åの分解能で構造解析に成功した。 さらに、解析結果に基づき、最適な酵素-電極反応場をデザインし、同一反応場に両酵素を担持するコンセプトによって、エタノール→アセトアルデヒド→酢酸という2段階酸化反応を実現。数理モデルに基づいて本カスケード反応効率を最適化し、電気エネルギーの獲得と酢酸の生産を同時に達成するバイオ燃料電池を構築した。同電池は、エタノールから酢酸への変換における電解効率が100±4%という卓越した性能を示し、生体触媒を用いた新たなバイオエタノール利用技術として各方面への寄与が期待される。 研究論文は、国際学術誌ACSカタリシス(ACS Catalysis)に2023年5月30日付けでオンライン掲載された

(中條)

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