自動車メーカーに買収されたスマホメーカー
Meizuのスマホは自動車との連携がしやすくなった
Meizu(メイズ、魅族)といえばハイエンドなスマートフォンを出している中国メーカーですが、2021年に投入した「Meizu 19」シリーズを最後に、2022年は新製品がありませんでした。Meizuは経営上の危機もあり、存続が危うい状態でしたが、2022年に中国大手の自動車メーカー、Geely(吉利汽車)に買収されています。その関係もあり、同年は新製品を出せなかったのでしょう。2023年3月に1年半ぶりとなる「Meizu 20」シリーズをようやく投入しました。
同シリーズは「Meizu 20」「Meizu 20 Pro」「Meizu 20 Infinity」の3モデル展開。Geelyは自動車のスマート化を進めるためにMeizuを買収し、同社のカスタムOS「Flyme OS」を統合していくのでしょう。自動車のスマート化はアップルの「CarPlay」、グーグルの「Android Auto」もありますが、自動車メーカーとしては自動車のサービスにまでGAFAに主導権を握られるのは好ましくないでしょう。
中国ではグーグルサービスはありませんから、中国メーカーは自社でスマートサービスに対応したOSなどを開発しなくてはなりません。中堅スマートフォンメーカーを買収してその技術を吸収するのは賢いやり方です。
Meizu 20シリーズは3機種ともSnapdragon 8 Gen 2を搭載するハイエンドモデルで、Meizu 20は6.55型ディスプレー、5000万画素+1600万画素超広角+500万画素深度測定カメラと、カメラスペックを抑えつつ価格は2999元(約5万9000円)とハイエンドモデルながら比較的低価格に抑えています。自動車メーカー傘下となったことで戦略的な価格で販売しているのかも。
上位モデルのMeizu 20 Proは6.81型ディスプレー、カメラは5000万画素3つ(広角、超広角、望遠)、Meizu 20 Infinityは6.79型21:9ディスプレーに5000万画素+1200万画素デュアルカメラ(超広角、2倍望遠)。それぞれ価格は3999元(約7万8000円)から、6299元(約12万4000円)からとなっています。
他社のハイエンドモデルと十分互角に戦える性能ですが、Meizu 20シリーズの最大の特徴は自動車とのコネクテッドサービスなのでしょう。Auto Phone機能により自動車車内のディスプレイにMeizu 20シリーズの画面を投影したり、自動車のコントロールがスマートフォン側からできるとのこと。おそらく対応する自動車はGeelyのみでしょうが、同社は2022年中国国内で中国メーカーシェア1位の大手。今後Geelyの自動車を買うとMeizuのスマートフォンが安くなる、なんてキャンペーンも行なわれるかもしれません。
大手メーカーの寡占が続く中国市場ですが、老舗のMeizuには市場をさらに活性化するため新製品を定期的に投入してほしいものです。
「スマホ好き」を名乗るなら絶対に読むべき
山根博士の新連載がASCII倶楽部で好評連載中!
長年、自らの足で携帯業界を取材しつづけている山根博士が、栄枯盛衰を解説。アスキーの連載「山根博士の海外モバイル通信」が世界のモバイルの「いま」と「未来」に関するものならば、ASCII倶楽部の「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」は、モバイルの「過去」を知るための新連載!
「アップルも最初は試行錯誤していた」「ノキアはなぜ、モバイルの王者の座を降りたのか」──熟練のガジェットマニアならなつかしく、若いモバイラーなら逆に新鮮。「スマホ」を語る上で絶対に必要な業界の歴史を山根博士と振り返りましょう!
→ASCII倶楽部「スマホメーカー栄枯盛衰~山根博士の携帯大辞典」を読む
★ASCII倶楽部は、ASCIIが提供する会員サービスです。有料会員に登録すると、 会員限定の連載記事、特集企画が読めるようになるほか、過去の映像企画のアーカイブ閲覧、編集部員の生の声を掲載する会員限定メルマガの受信もできるようになります。さらに、電子雑誌「週刊アスキー」がバックナンバーを含めてブラウザー上で読み放題になるサービスも展開中です。

この連載の記事
- 第651回 HTCの最新スマホ「HTC U23 pro」を求めて台北を駆け回った結果
- 第650回 世界最速! 香港でのXperia 1 V発売にソニー香港の本気を見た!
- 第648回 夜景が得意なAQUOS sense7のカメラはソウルや香港でもキレイに撮れた!
- 第647回 横長横折スマホ「Pixel Fold」のケースとOPPO Find N2の大きさを比較
- 第646回 台湾に行くなら、安くて5Gも快適なプリペイドSIMを使おう!
- 第645回 中南米市場を狙う新興スマホメーカー「FreeYond」は、“元”老舗のGioneeの復活か
- 第644回 インパクト大なハイエンド機もあるZTEのスマホは「ビジネス」「カメラ」「ゲーミング」の3体制に
- 第643回 中国ではファーウェイ製スマホをベースにした5Gスマホが他メーカーから売られている!?
- 第642回 「外折り式」になったかもしれないOPPOの折りたたみスマホの歴史を見た
- 第641回 「プリペイドSIM天国香港」の危機!? 実名登録でSIM屋台はどうなったのか
- この連載の一覧へ