このスマホ、ホントに買い? 話題のスマホ徹底レビュー 第411回
最強Snapdragonに2億画素カメラ、最高峰性能の「Galaxy S23 Ultra」の実力を探る
2023年05月13日 12時00分更新
サムスン電子の新しいフラッグシップスマートフォン「Galaxy S23 Ultra」は、前機種「Galaxy S22 Ultra」の大画面や、内蔵型のSペンによる操作などのテイストはそのままに、Galaxyシリーズ専用にカスタマイズされたクアルコム製のチップセットや、2億画素のカメラなどを搭載した超ハイエンドモデルへと進化した。ゲーミングに関する性能を中心に、その実力を確認してみよう。
大画面とSペン操作継承、ボディーサイズは大きめ
まずは外観から確認すると、ディスプレーサイズは6.8型と大型で、サイズは約78.1×163.4×8.9mm、重量は234g。Galaxy S22 Ultra(約77.9×163.4×8.9mm、229g)と比べても大きな違いはないのだが、実際に手にすると、それなりに手が大きい筆者でも大きいと感じてしまう。
それは大画面ディスプレーを搭載しているからこそでもあり、6.7~6.8型のディスプレーサイズは最近のハイエンドスマートフォンの上位モデルとしてはスタンダードとなりつつあるものだが、やはり横幅の広さがそのサイズを感じさせる。これはかつての「Galaxy Note」シリーズを引き継いで、Sペンに対応したことが影響しており、ある意味操作性とのトレードオフということになるだろう。
もちろんディスプレーは有機ELでリフレッシュレート120Hz駆動に対応しており、滑らかな表示が可能。それゆえ指紋センサーはディスプレー内蔵型となっているが、画面ロックの解除用であればフロントカメラによる顔認証を使うことも可能だ。
背面もGalaxy S22 Ultraを踏襲し、カメラ部分以外はシンプルなデザイン。Galaxy S23シリーズではカメラ部分のデザインをGalaxy S23 Ultraと共通化したこともあり、シリーズで統一感のあるデザインを実現した点は評価されるが、一方でカメラ部分がむき出しのデザインはやや古さも感じさせ、好みが分かれるかもしれない。
ディスプレーは側面にややカーブがかかったデザインで、高級感を打ち出しているのに加え、背面側の側面がややカーブしていることから、手にした時に丸くて持ちやすい。なお、電源キーや音量キーといったボタン類は、右側面に集中して設置されている。
底面にはSIMカードスロットと充電用のUSB Type-C端子、そしてGalaxy S23 Ultraの大きな特徴にもなっているSペンが内蔵されている。SペンはGalaxy S22 UltraやかつてのGalaxy Noteシリーズと同様、押し込んで取り出すスタイルで、メモや画像のクリップ、リモコン操作などに用いることができるほか、スリープ状態からでもメモができるなど利便性は高い。
AAAクラスのゲームも快適
ゲーミング性能は最強クラス
Galaxy S23 Ultraの特徴の1つでもあるゲーミングに関する性能を確認してみると、チップセットはクアルコムの「Snapdragon 8 Gen 2」をGalaxyシリーズに向けてカスタマイズした「Snapdragon 8 Gen 2 Moble Platform for Galaxy」を搭載。動作クロックを最大3.36GHzにまで上げることができ、ほかのSnapdragon 8 Gen 2搭載機種より高い性能を誇る。
メモリーは全モデルで12GBと共通しているが、ストレージは256GBだけでなく、512GB、そしてau向けモデルでは1TBモデルも用意されている。もちろん値段もその分高いのだが、大容量のAAAクラスのゲームだけでなく、動画などを多く扱うヘビーユーザーには役立つだろう。
あいにく手元にSnapdragon 8 Gen 2搭載機種がなかったので、とりあえずいくつかのベンチマークを確認したところいずれのスコアも「Snapdragon 8 Gen 1」「Snapdragon 8+ Gen 1」搭載機種よりは確実に高い。現時点のAndroidスマートフォンではトップクラスの性能なのは間違いないだろう。
そこでスマーフォンで重量級とされるゲームをいくつかプレイしてみたところ、設定を最高クラスにしても十分快適に動作する。Snapdragon 8 Gen 1搭載機種では最高設定にするとフレーム落ちが起きていた「Tower of Fantasy(幻塔)」も、筆者がプレイした範囲ではフレーム落ちも発生せず快適にプレイできた。
それだけ負荷の高いゲームをプレイするとなると、発熱とそれによるパフォーマンスの低下が気になるが、Galaxy S23 Ultraはベイパーチャンバーを使った冷却機構を強化し、熱への対策も強化している。試しに「原神」を1時間ほどプレイした状態で本体の表面温度を測ってみたのだが、最も熱い上部、横にした状態で左側面側でもディスプレー側、背面側共に42度前後といったところで、それ以上温度が上がることもなかった。
40度を超えるだけに、手にしているとやや熱くは感じるのだが、ゲームプレイに支障が出るほどの熱さではない。そして何より、継続して高いパフォーマンスでのプレイが可能というのは遊ぶうえで非常にうれしいポイントだ。
バッテリーは5000mAhと、ハイエンドモデルとしては標準的な容量だ。数時間のゲームプレイなら十分持続するが、Galaxy S23 Ultraはそれに加えて、新たにバッテリーを介せず充電器から直接電力を供給する「直接給電」に対応した。この機能を使うにはPower Delivery PPS(Programmable Power Supply)に対応した充電器が必要で、対応する充電器を用意する必要があるものの、充電しながらゲームプレイしても発熱やバッテリーの劣化を抑えられることから、ゲームプレイに重点を置くならぜひ活用したい。
一方でやや残念に感じたのが、Snapdragon 8 Gen 2 Moble Platform for Galaxyで対応をうたう「リアルタイムレイトレーシング」対応のゲームタイトルが、筆者が確認した限り見当たらなかったこと。リアルタイムレイトレーシングは光の反射や屈折などをリアルに表現できる3Dグラフィック技術で、膨大な演算処理が必要なことから、通常はゲーミングPCなどの高いハード性能が求められる。
それゆえハード側の対応が始まったばかりのスマートフォン向けゲームで、対応したタイトルはまだあまり出ていないものと考えられる。今後対応タイトルは増えてくると考えられるが、それまでは性能を持て余すことになってしまうのが惜しい。
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