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観測史上最大の超高速恒星プロミネンス噴出を観測=京大など

2023年05月03日 09時57分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学や国立天文台の共同研究チームは、りょうけん座RS型変光星「V1355 Orionis」のモニター観測により、巨大爆発現象「スーパーフレア」とそれに伴う超高速プロミネンス(温度約1万度のプラズマの塊)の噴出を検出することに成功。恒星の活動が周囲の惑星環境へと影響を与える「宇宙天気現象」の最極端なケースを捉えた。

京都大学や国立天文台の共同研究チームは、りょうけん座RS型変光星「V1355 Orionis」のモニター観測により、巨大爆発現象「スーパーフレア」とそれに伴う超高速プロミネンス(温度約1万度のプラズマの塊)の噴出を検出することに成功。恒星の活動が周囲の惑星環境へと影響を与える「宇宙天気現象」の最極端なケースを捉えた。 研究チームは2020年12月下旬に、京都大学の3.8メートル「せいめい」望遠鏡を用いて、V1355 Orionisの分光観測を1週間ほど実施した。同時に、NASA(米航空宇宙局)の外惑星探索衛星「テス(TESS)」による測光観測も実施。分光観測データを解析してフレア中のHα水素線のドップラーシフトからフレアの速度を、測光観測データからフレアのエネルギーや持続時間を調べた。 その結果、今回発見したプロミネンスは約1600キロメートル毎秒(km/s)という極めて大きい速度で噴出しており、V1355 Orionisの重力を振り払うのに必要な最低速度である350km/sを大きく超過していたことがわかった。さらに、今回のプロミネンスが太陽での最大級のプロミネンス噴出の100倍以上の質量を持っており、観測史上最大の重さのプロミネンスであることもわかった。 太陽以外の恒星でもフレアに伴ってプロミネンス噴出が確認された例はこれまでにもあったが、その速度が星の重力を振り払えるほど大きかった例はほぼ皆無であったという。研究成果は、国際学術誌アストロフィジカル・ジャーナル(Astrophysical Journal)に2023年4月27日付けでオンライン掲載された

(中條)

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