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小惑星リュウグウにアミノ酸生成の痕跡を発見=岡山大など

2023年04月04日 07時55分更新

文● MIT Technology Review Japan

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岡山大学らの研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の二つの異なる地点で採取した粒子に含まれるアミノ酸の濃度をそれぞれ測定。いくつかのアミノ酸の濃度が粒子間で異なることを明らかにした。これらのアミノ酸はリュウグウの前駆天体の中、前駆物質が流体と反応して形成したと考えられ、小惑星や隕石に含まれるアミノ酸の一部は氷天体で形成されたことが示されたとしている。

岡山大学らの研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」の二つの異なる地点で採取した粒子に含まれるアミノ酸の濃度をそれぞれ測定。いくつかのアミノ酸の濃度が粒子間で異なることを明らかにした。これらのアミノ酸はリュウグウの前駆天体の中、前駆物質が流体と反応して形成したと考えられ、小惑星や隕石に含まれるアミノ酸の一部は氷天体で形成されたことが示されたとしている。 研究チームは、小惑星リュウグウから回収された二つの粒子を分析し、その中に含まれるアミノ酸を同定し、その濃度を決定した。その結果、炭酸塩を多く粒子には、アミノ酸ジメチルグリシンが多く含まれ、他方の粒子にはアミノ酸ジメチルグリシンが検出されなかった。研究チームによると、これは、アミノ酸が太陽系初期の小惑星で形成され、小惑星環境における流体反応におけるわずかな条件の違いがアミノ酸の最終的な存在量に大きな影響を与えたことを示しているという。 地球上の生命はアミノ酸が結合したタンパク質により構成されており、これまでに、地球生命の起源となり得るアミノ酸が地球外環境から供給された可能性が言及されている。今回の成果により、アミノ酸の一部は、小惑星などの氷を含む小天体で形成され、このアミノ酸が衝突イベントなどを通じ地球に運ばれた結果、地球生命をもたらした可能性が示唆されるという。 研究論文はネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2023年3月17日付けでオンライン掲載された

(中條)

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