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大気中かつ室温での太陽電池作製に成功、10%超の発電効率=京大

2023年03月21日 06時53分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学の研究チームは、素材のシリコン(Si)ウェハから大気中かつ室温の工程のみで太陽電池を作製することに成功し、10%を超える発電効率を得た。今回の手法は、簡便で低コストかつ高生産速度な太陽電池の作製を可能とし、開発途上国や教育現場などをはじめとする幅広い用途に活用できるものとして期待される。

京都大学の研究チームは、素材のシリコン(Si)ウェハから大気中かつ室温の工程のみで太陽電池を作製することに成功し、10%を超える発電効率を得た。今回の手法は、簡便で低コストかつ高生産速度な太陽電池の作製を可能とし、開発途上国や教育現場などをはじめとする幅広い用途に活用できるものとして期待される。 研究チームは、PEDOT:PSS/Siヘテロ接合太陽電池という有機材料-無機材料ハイブリッド型の太陽電池が、従来のSi太陽電池と異なり、接合形成のための高温での不純物拡散工程が不要であるため、簡便な作製が可能となることに着目。この有機-無機ハイブリッド太陽電池では、不純物濃度の高いSiウェハを用いても発電が可能であることを見い出した。 太陽電池の電極形成方法としては、無電解メッキや真空蒸着、スクリーン印刷が一般的であるが、こうした方法では、加熱や真空引きといった工程が必要であり、エネルギーや時間、コストがかかる。研究チームは今回、導電性の銀(Ag)インク剤を用いて、半導体材料に塗布するだけで、太陽電池の電極を形成することに成功。市販されている通常のSiウェハから、大気中かつ室温下の工程のみで太陽電池を作製し、10%を超える発電効率を得た。 研究論文は、米国の国際学術誌「米国科学アカデミー紀要ネクサス(PNAS Nexus)に2023年3月14日付けでオンライン掲載された

(中條)

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