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東北大、iPS細胞による心筋細胞の培養を効率化

2023年03月19日 08時31分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学の研究チームは、iPS細胞の塊をゲルで挟んで硬さを調節することで、効率よく心筋細胞を培養する手法「サンドウィッチ培養法」を開発した。心筋梗塞や心筋炎で壊死した細胞を再生させる治療法として、iPS細胞から培養した心筋細胞を移植する治療法が有望視されているが、培養に時間がかかる上、iPS細胞から心筋細胞に完全に分化していない細胞が残り、移植後に腫瘍を形成する恐れがある。そのため、より効率が良い培養法の開発が求められている。

東北大学の研究チームは、iPS細胞の塊をゲルで挟んで硬さを調節することで、効率よく心筋細胞を培養する手法「サンドウィッチ培養法」を開発した。心筋梗塞や心筋炎で壊死した細胞を再生させる治療法として、iPS細胞から培養した心筋細胞を移植する治療法が有望視されているが、培養に時間がかかる上、iPS細胞から心筋細胞に完全に分化していない細胞が残り、移植後に腫瘍を形成する恐れがある。そのため、より効率が良い培養法の開発が求められている。 研究チームはマウスiPS細胞の塊(胚葉体)を、硬さを調節できるポリアクリルアミドハイドロゲルで三次元的に挟み込んだ。すると、ゲルの硬さに応じてYAP(Yes-Associated Protein)シグナル伝達経路が活性化され、アクチン細胞骨格の再編成を促すことが分かった。また、ゲルの硬さを心臓の硬さに近似させると、iPS細胞は中胚葉の細胞に分化しやすくなり、心臓の筋肉が由来する側板中胚葉の関連遺伝子が発現することが分かった。この中胚葉細胞を心筋細胞に誘導したところ、拍動する細胞が多く出現し、構造的にもより成熟した心筋細胞が得られた。 研究成果は3月5日、マクロモレキュラー・バイオサイエンス(Macromolecular Bioscience)誌に掲載された。今回開発した培養法を応用しゲルの硬さを変えることで、心筋細胞に限らず、他の組織の培養効率を上げることができる可能性がある。

(笹田)

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