SalesforceとOpenAIは3月7日(現地時間)、Salesforceが提供するコミュニケーションツール「Slack」用のChatGPTアプリと、同社のCRMツール向けの生成AI「Einstein(アインシュタイン)GPT」を発表した。
SlackやSalesforce上からChatGPTを利用可能に
ChatGPTアプリは、OpenAIが自らSlackプラットフォーム上に構築したもの。ChatGPTの強力な生成AI技術を統合し、会話の要約や各種リサーチ、ライティング支援などをSlack上で直接利用することができる。
Slack内でChatGPTアプリがアクセスできるデータはユーザーが細かくコントロールできるため、セキュリティ管理も万全。もちろんChatGPTがアクセスするデータは言語モデルのトレーニングには使用されない。
いち早く利用するにはウェイティングリストに登録する必要があるが、将来的にはSlackに用意されている2600以上のサードパーティ製アプリと同様に「Slack Appディレクトリ」から誰でも利用できるようになる見込み。
Einstein GPTは、セールスフォース独自のAIモデルにOpenAIの生成AIテクノロジーを統合したソリューション。
利用者は自身のデータをOpenAIのAIモデルに接続し、顧客に送信するためのパーソナライズされた電子メールの生成をしたり、顧客の質問に迅速に回答したり、開発者向けのコードを自動生成したりといったことが可能となる。
さらに、Salesforceのグローバル投資部門Salesforce Venturesは「Generative AI Fund」という2億5000万ドル(約344億円)のファンドを新たに設立。生成AIを中心にした将来性の高いスタートアップを支援していくという。
OpenAIはSlackのヘビーユーザー
もともとOpenAIはSlackを社内のコミュニケーションツールとして長年利用してきた。
これまで500万以上のメッセージを送り、170以上のSlackコネクト(社外の組織と特定のSlackチャンネルを安全に接続し共有できる機能)チャンネルを持ち、日々の業務の一環としてハドルを利用して顧客との連絡に利用しているというからかなりのヘビーユーザーだ。
OpenAIのGTM責任者ザック・キャス氏は「我々にとってSlackコネクトとハドルは顧客とのコミュニケーションの生命線となっています。この製品に私たちの技術を投入することで、顧客とのつながりを深め、喜んでもらうための能力が格段に向上しました。もうこの製品なしでの業務は想像することすらできせん」と絶賛している。