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硫化水素・超硫黄分子の代謝と生体制御への関与を解明=東大など

2023年02月24日 06時46分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学や東北大学などの共同研究チームは、毒物として知られる硫化水素が種々の形に活性化した「超硫黄分子」が、細胞内でどのように産生され、生体制御に関わるかを明らかにした。

東京大学や東北大学などの共同研究チームは、毒物として知られる硫化水素が種々の形に活性化した「超硫黄分子」が、細胞内でどのように産生され、生体制御に関わるかを明らかにした。 硫化水素は、古代地球において酸素より豊富に存在していたため、さまざまな生理機能において中心的な役割を果たし、生命進化に大きく貢献したと考えられている。最近になり、さまざまな生体機能の制御に関わっていることがわかってきたが、その代謝から制御系への素過程は不明だった。 研究チームは今回、超硫黄分子に応答して転写制御をする転写因子「SqrR」が制御に関わる超硫黄分子代謝関連の酵素に着目。超硫黄分子代謝がSqrR依存的な転写制御に及ぼす影響を精査することで、超硫黄分子の代謝酵素を複数同定し、それらが超硫黄分子による生体制御機構に与える影響を明らかにした。 研究成果は、超硫黄分子が関わる統合失調症や心不全などのさまざまな疾患に対し、新たな治療法の開発に向けた礎となることが期待される。例えば、脳疾患である統合失調症では、脳内の硫化水素濃度が高くなり、ポリスルフィド修飾を受けたタンパク質が蓄積することが原因となることが示唆されている。これは、硫化水素・超硫黄分子代謝を制御することで進行を調節できる可能性を示しているという。 研究論文は、PNASネクサス(PNAS Nexus)のオンライン速報版に2023年2月10日付けで掲載された

(中條)

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