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予測に基づいて行動を選ぶ脳の回路を発見=京大

2023年02月16日 06時03分更新

文● MIT Technology Review Japan

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京都大学の研究チームは、マウスを用いた実験で、予測に基づいて行動を選ぶための脳の回路を突き止め、予測に基づいて行動を選ぶ時には脳の2次運動野の活動が重要であることを明らかにした。

京都大学の研究チームは、マウスを用いた実験で、予測に基づいて行動を選ぶための脳の回路を突き止め、予測に基づいて行動を選ぶ時には脳の2次運動野の活動が重要であることを明らかにした。 環境が変化することを学習した動物は、報酬がもらえるなど今までにうまくいった行動をずっと続けるのではなく、変化を予測して行動を変えることが知られている。研究チームは、飲み口が左右に一つずつあり、「10回水を飲むと水の出る飲み口が必ず変更される」環境を設定。この環境に置いたマウスは、経験によりこのルールを学習すると、10回目の水を飲んだ後は速やかに別の飲み口から水を飲む予測的な行動が増えることを確認した。 次に、マウスがルールを学習する前後で、運動の企画に関わるとされる脳の2次運動野の神経活動を観察。学習初期の初心者では「今までに良かった行動」を高く評価する後ろ向き(過去の方向)の価値を表現しているのに対し、熟練者では、予測に基づいて価値を表現する前向き(未来方向)の価値も併せ持つことを突き止めた。 さらに、熟練者の2次運動野の神経活動を行動の直前2秒ほど抑制すると、水が出なくなった飲み口から何度も水を飲もうとするようになり、予測的に行動を変えることもなくなった。これらの結果から、最終的に行動が一つ選ばれるときには、後ろ向きと前向きの行動価値が2次運動野で統合され、予測的な行動選択を駆動することが明らかになったとしている。 今回の研究成果は、国際学術誌「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)」に2022年11月23日付けでオンライン掲載された

(中條)

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