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磁気嵐で数十基の人工衛星が失われた原因を解明=極地研など

2023年02月14日 06時56分更新

文● MIT Technology Review Japan

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国立極地研究所と情報通信研究機構(NICT)などの共同研究チームは、数十基の低軌道衛星を大気に落下させた2022年2月上旬の磁気嵐の発生メカニズムを分析。さらに、磁気嵐による大気密度増加のシミュレーションを実行することで、数十基の低軌道衛星が大気へ再突入して喪失に至った原因を明らかにした。

国立極地研究所と情報通信研究機構(NICT)などの共同研究チームは、数十基の低軌道衛星を大気に落下させた2022年2月上旬の磁気嵐の発生メカニズムを分析。さらに、磁気嵐による大気密度増加のシミュレーションを実行することで、数十基の低軌道衛星が大気へ再突入して喪失に至った原因を明らかにした。 2022年2月上旬の磁気嵐ではスペースXが打ち上げたスターリンク衛星49基のうち、38基が大気圏へ再突入して失われた。この時に発生した磁気嵐の規模はひと月に1回程度発生するようなありふれたレベルにもかかわらず、多数の人工衛星が大気へ再突入した点で注目されている。 研究チームはこの磁気嵐について、複数の衛星・探査機による太陽と太陽風の観測データを分析。2つのコロナ質量放出が太陽から放出され、それぞれが間をおいて到来することで、2回の磁気嵐を引き起こしたことを見い出した。 さらに、大気の物理プロセスを計算する大気圏・電離圏モデル「GAIA」のリアルタイムシミュレーションを実施。その結果、磁気嵐によって加熱され膨張した大気が極域から低緯度に広がり、大気密度が50%増加することで、高度200キロメートルにおいて、従来の理解より広い範囲で大気の空気抵抗が増加することがわかった。 今回の研究論文は、欧州科学雑誌「宇宙天気・宇宙気候ジャーナル(Journal of Space Weather and Space Climate)に2022年12月23日付けで掲載された

(中條)

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