新しい言語モデル「Prometheus(プロメテウス)」
マイクロソフトは2月7日(現地時間)、AIを搭載した新しい検索エンジン「Bing」およびブラウザ「Edge」を発表。現在は特定の質問クエリだけが試せる限定プレビューの状態だが、ウェイティングリストに登録することで順次利用可能になる。
新しいBingは、GPT-3.5をベースにしたChatGPTよりも強力で、検索用にカスタマイズされた次世代OpenAI大規模言語モデル「Prometheus(プロメテウス)」上で実行されている。
ChatGPTと異なり2022年以降の知識も持っている
限定プレビューではあらかじめ用意された12個の質問クエリを試すことができる。
「9月に結婚記念日の旅行を計画してるんだけど、羽田か成田から3時間以内で行けるいいところを教えて。」というクエリを試してみると、
通常の検索結果が左側に、そして右側にチャットボットによる自然言語の回答が表示される。また、地図、天気予報、Wikipediaの関連項目、など関連するサイトから取得したコンテンツも見やすく整理された状態で表示される。
新しいAIモデルはチャットボットだけではなく検索ランキングエンジンにも適用されているため、基本的な検索の精度も向上しているという。
右側のチャット画面ではChatGPTと同様に自然言語で回答や提案が表示される。
下線が引いてあるテキストにマウスカーソルを持っていくと引用元のサイトが表示されるため、ChatGPTより大幅にファクトチェックがしやすくなっている。
もちろんChatGPT同様にコードを書いたり、ポエムを創作したりもできる。
さらに質問を続けると「チャットモード」と呼ばれるウィンドウに遷移するようだが、現段階ではここまで。
なお、ChatGPT(GPT-3.5)のトレーニングデータは2021年までのものだが、サンプルクエリに対する回答を見ると2023年の音楽フェスの情報が含まれているのも注目だ。
マイクロソフトのデフォルトブラウザ、「Edge」もアップデートされ、AIモデルを利用したチャット機能とメール作成機能が追加された。チャット機能で表示されているウェブサイトの要約を表示したり、メール作成機能でTPOにあわせたメールを自動生成したりできる。
マイクロソフトはAIの危険性も認識しており、誤報や偽情報、コンテンツのブロック、データの安全性、有害なコンテンツや差別的なコンテンツの促進の防止といった問題に取り組んでいるという。
追われる立場のグーグルも必死
検索やAIの分野でマイクロソフトと正面から競合するグーグルは2月6日、新しい対話型AI「Bard」を発表、さらに現地時間2月8日には検索やマップなどに関する発表イベントを予定している。
今回のマイクロソフトの唐突とも言える発表タイミングは検索の巨人グーグルを牽制する意図も多分にあるだろう。