インドから新しいモバイルOS「BharOS」が発表された。セキュリティーとプライバシーを強調しており、すでに利用している組織もあるとのこと。AndroidとiOSが独占する市場を打開しようと、これまでいくつかの試みがあったが、成功したものはない。世界最大規模の人口を抱える国なら、第3のスマホOSは成功するのだろうか?
「Firefox OS」などの第3のOSブームから早くも10年
2月になると、業界はMWCに向けて浮き足立つ。2020年は直前のキャンセル、一昨年は時期をずらしてオンライン開催、昨年はスペイン・バルセロナの会場もオープンしたハイブリッド形式。今年はフルスイングとなりそうだ。
ちょうど10年前のMWCでは、第3のOSに向けた動きが活発だった。Mozillaが端末メーカーやオペレーターなど多数を一堂に集めて「Firefox OS」のローンチを発表したり、Jollaが発表した「Sailfish OS」のSDKを発表するなどのニュースに沸いた。
彼らに共通したメッセージは、「AndroidとiOS以外の選択肢を」だった。このほかにもUbuntuのCanonical、非営利団体の形をとった「Tizen」なども同じことを試みたが、MozillaとCanonicalは撤退、Tizenはスマートフォンからスマートウォッチ向けになり、その後「Wear OS」に統合された。
現在のモバイルOSの状況はというと、AndroidとiOSでなんと98.8%を占めている(2022年第4四半期、Statista調べ)。10年前は、まだ「Windows Phone」「Nokia Series 40」「Symbian OS」なども残っていたので、当時よりも2極体制は進んでいる。
安全とプライバシーを特徴とするBharOS
そのような状況で発表されたのが、「BharOS」だ。その名も「インドのOS」(Bhartはヒンズー語でインドの意味)。それ以前は「IndOS」という噂があったOSだ。
開発したのは「JandK Operations(JandKops)」なる組織。インド工科大学マドラス校(IIT Madras)のインキュベーションプロジェクトで、インドの科学技術省の出資を受けている。
このような“生い立ち”もあり、BharOSの発表会には技能開発・起業促進省と教育省のDharmendra Pradhan氏、鉄道・通信・電子・IT省のAshwini Vaishnaw氏が登場。両氏がBharOSを搭載した端末を使って、遠隔にいるIIT-Madrasの担当者とビデオ通話をする形をとった。
IIT Madrasによると、BharOSは商用のスマートフォンにインストールして利用できるという。OTAにより最新のOSを利用できること、デフォルトのアプリがないなど、セキュリティーとプライバシーをアピールしている。企業や組織は自社でアプリストアを展開できる。
すでに機密情報を扱う機関が利用しているとのことで、これらのユーザーはプライベート5G経由でプライベートクラウドサービスを利用しているそうだ。
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