HPE GreenLake+サードパーティSDSとの組み合わせで“クラウドの「あたりまえ」”を実現
HPE、データ活用を促すSDS向けサーバー「HPE Alletra 4000」発売
2023年02月03日 07時00分更新
日本ヒューレット・パッカード(HPE)は2023年2月2日、SDS(Software-Defined Storage)向けのデータストレージサーバー新製品「HPE Alletra(アレットラ) 4000シリーズ」を発売した。1U/2Uサイズの筐体内に、前後2列/20~48本のドライブや第4世代インテルXeonスケーラブルプロセッサ(Xeon SP)を搭載し、「Qumulo」「Cohesity」「Scality」といったSDSのノード構成用途に適する。
「HPE Alletra 4000シリーズ」。2UのAlletra 4120はNVMe/SSD/HDD混載可能モデルで最大容量560TB(20TB HDD×28本)。1UのAlletra 4110はNVMe対応オールフラッシュモデル
記者発表会ではAlletra 4000と、従量課金/マネージドサービスの「HPE GreenLake」、サードパーティのSDSソフトウェアの3つを組み合わせて提供することで、「容量/性能のスケーラビリティ」「多様な選択肢」「容易な管理」「従量課金」といった“クラウドの「あたりまえ」”を自社内で実現できることが説明された。
日本ヒューレット・パッカード 執行役員 HPC・DATA & AI ソリューション事業統括本部長 兼 データサービス事業統括本部長の根岸史季氏、同社 データサービス事業統括 ストレージ製品本部 エバンジェリスト/カテゴリーマネージャーの山中伸吾氏
「データストレージサーバー」という新たなカテゴリ
HPEでは同日、最新の第4世代Xeon SPを搭載した「HPE ProLiant Gen11サーバー」4機種を発表している。実はAlletra 4000シリーズも、第4世代Xeon SPを搭載するx86サーバーであり、「HPE Apollo 4200 Gen10 Plus」の後継モデル(Gen11版)に当たる。
ただしAlletra 4000は、ProLiantのような汎用サーバーではなく「データストレージサーバー」と位置づけられている。筐体1台あたり20~48本のSSD/HDDドライブを内蔵し、SDSなどのソフトウェアと組み合わせて大容量データを格納する目的で設計されたサーバーだ。
HPEでは2021年に「Alletra 9000/6000/5000」シリーズをリリースしている。こちらは「HPE Primera」や「HPE Nimble Storage」をベースとした、エンタープライズ向けのブロックストレージ製品だ。
ProLiantベースのSDS向けx86サーバー(Alletra 4000)とブロックストレージ専用機(Alletra 9000/6000/5000)という、利用目的もハードウェアも異なる製品を同じ“Alletraブランド”でひとくくりにした理由は何なのか。
両製品の共通点について、HPE ストレージ製品本部 エバンジェリストの山中伸吾氏は、両者ともパブリッククラウドとうまく連携させて“データ活用のインフラ”として使うのが前提であること、クラウド上のコンソール経由で管理を行う「クラウド運用」がキーになっていること、の2点を挙げる。
今回のAlletra 4000では、サーバーの導入/監視/管理作業を行うためのクラウド上の管理コンソール「HPE GreenLake for Compute Ops Management」が用意されており、このコンソールを介してパブリッククラウドと同様の直感的な操作が行えるという。
なおAlletra 4000では、利用用途に応じてQumulo、Cohecity、ScalityをはじめとするSDSソフトウェア群から自由に選択できる。HPEではサードパーティ製品を「事前検証済み」「HPE製品として購入可能」「ベストプライス」で提供する「HPE COMPLETEプログラム」を展開しており、こうしたサードパーティ製SDSでも安心して導入できると強調した。なお、QumuloとCohesityについてはサポート窓口もHPEが提供する。
価格(税込)は、NVMeオールフラッシュのAlletra 4110が501万200円から、NVMe/SSD/HDDハイブリッドのAlletra 4120が397万9500円から。いずれも出荷開始は3月中旬の予定。
「単なる“データの倉庫”ではなくデータ活用を可能にするインフラ」
HPE データサービス事業統括本部長の根岸史季氏は、今回の新製品発表の背景を説明した。
現在、あらゆる業種の企業が取り組んでいるDXだが、成功している企業は少ない。その大きな要因として根岸氏は、HPEによるグローバル19カ国調査を引用しながら、“DXの要”である「データ活用の成熟度」が全体に低いことを指摘する。
「グローバルでも日本でも、データを戦略的に活用しているレベル5の企業はまだ絶対的に少ない。ただし、レベル分布を細かく見ていくと、日本では『データ活用ができていない』もしくは『活用がほぼ不可能な状態』の割合が非常に多い。全体として日本はグローバルと非常に隔たりがあると言わざるを得ない」(根岸氏)
データ活用を妨げている技術的課題についても説明した。従来型のオンプレミスストレージでは、容量や性能のスケーラビリティが低く、多数のシステムにデータが分散しがちだ。そこでパブリッククラウドへのデータ移行が進んだが、クラウドにも長期的に見て高いコスト、データのロックイン、安全性(データ保護)といった課題がある。
「データの特性とアクセスの仕方、つまり活用の仕方によって、クラウドだけでなくオンプレシステムと組み合わせた“データの適材適所化”をしていかないと、持続性のあるデータの活用は難しい」(根岸氏)
そのうえで根岸氏は、「単なる“データの倉庫”ではなくデータの活用を可能にする、クラウドとの連携を意識したインフラ」として、今回の新製品を含むAlletraシリーズのような製品が必要になってくるだろうと語った。
