いつかは“QE”
以前、アスキーグルメで日本が誇る客船「にっぽん丸」のクルーズを紹介したのが2020年の11月。あれから2年余りが過ぎた今も、日本の客船は“元気に”商業航海を続けています。感染抑制対策のために中断していた、外国船籍客船による日本発着クルーズも2023年3月から再開する見込みです。それに伴って、以前から日本で定期的に就航していた船も日本に帰ってきます。
その中の1隻が英国船会社の老舗であるキュナードに所属する豪華客船「クイーン・エリザベス」です。クイーン・エリザベスは世界で最も有名な客船の1隻で、現在運航中の船で3代目となります。日本寄港自体は2014年からですが、2017年からは日本発着クルーズを定期的に実施していたので、多くの日本人から親しまれています。
そんなクイーン・エリザベスも感染抑制対策のため、商業航海は17ヵ月の中断を余儀なくされておりました。しかし、2021年8月から英国発着のクルーズを再開。2023年3月からは日本発着クルーズを実施する予定になっています。
今回筆者は幸運なことに、日本就航直前に実施しているオーストラリアクルーズのシドニーからメルボルンに向かう航路に乗船する機会に恵まれました。そんなわけで、「歴史と格式を誇る英国豪華客船の正統派朝昼晩メシ“+α”」を堪能する食い倒れ船旅をご紹介しましょう!
今回の船旅は2022年12月13日18時にシドニーを出港し、翌14日は終日航海、翌々15日の朝にメルボルンに入港します。出港は夕方ですが乗船はお昼から始まります。出港までまだ6時間近く。いきなり暇を持て余す……なぁーんてことをクイーン・エリザベスはさせません。
実を言うと今回乗船する航路は長期クルーズの一部区間だけなので、クイーン・エリザベスはすでに“営業中”なのです。第9デッキ(建物でいうところの9階に相当)の中央から後方にかけた左舷と右舷に分かれて設けられているブッフェスタイルの「Lido Restaurant」や、その後端にある「Lido Bar」で軽食が提供されていました。 乗船手続きでランチを食べそびれていたので助かりました。
客室に荷物を置いてひと息ついた船客たちは、参加必須の避難訓練を終えた後、早速駆けつけてシドニー港の景色を楽しみながら舌鼓。キュナードオリジナルのクラフトビールやベイクドポテト、ピザ、サンドイッチ、ペストリーなどをいただきます。キュナードオリジナルのクラフトビールは、英国の地ビール醸造会社「ダーク・レボリューション」と提携して2019年に開発したもの。スタウトビールの「Cunard Black」、IPAの「Cunard Red」、ピルスナーの「Cunard Gold」が用意されています。
クラフトビールで喉をうるおし、サンドイッチやペストリーで空腹を満たしつつシドニー名物のオペラハウスやハーバーブリッジ、港を行きかうヨットや連絡船の姿を楽しんでいたら時刻は17時。間もなく出港の時間です。出港の時間が近づくと乗客はデッキに集まって「出港パーティー」が始まります。シャンパンをグラスに注いで、同行者たちと航海の無事を祈りながら飲み干したら、すぐにディナーの始まりです!
出港シーンで最も見ごたえのある「ハーバーブリッジを背景にしたクイーン・エリザベス」をカメラに収めたら、メイン・ダイニングに馳せ参じます。