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新型コロナの難治化バイオマーカーを特定、血液検査で予測可能に

2022年12月21日 09時01分更新

文● MIT Technology Review Japan

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大阪大学、医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪刀根山センター、日本医療研究開発機構の研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の難治化を予測するバイオマーカーを特定した。これまで、新型コロナウイルス感染症の難治化を簡単に予測する方法はなく、臨床現場で課題となっていた。

大阪大学、医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪刀根山センター、日本医療研究開発機構の研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の難治化を予測するバイオマーカーを特定した。これまで、新型コロナウイルス感染症の難治化を簡単に予測する方法はなく、臨床現場で課題となっていた。 研究グループは、新型コロナウイルス感染症患者の血清エクソソーム(細胞から分泌されるカプセル状の物質)を最新の蛋白網羅的解析(プロテオミクス)の手法で解析。3046種類のタンパク質の中から、新しいバイオマーカーを同定した。 中でも、DNAを核内に折りたたむヒストン蛋白の一種である「MACROH2A1」にはステロイド治療抵抗例を予測する能力があることが分かった。さらに、血中の免疫細胞、肺組織中のさまざまな細胞を対象にシングルセル解析を実施したところ、抗ウイルス免疫で重要な役割を果たす単球で、MACROH2A1が顕著に増加していた。以上の結果から、重症新型コロナウイルス感染症では、肺と血液の単球でのMACROH2A1の働きが関係していることが分かった。 研究成果は11月30日、インフラメーション・アンド・リジェネレーション(Inflammation and Regeneration)誌に掲載された。今回の研究成果によって、新型コロナウイルス感染症が難治化するかどうかを血液検査で予測可能になるという。さらに、重症新型コロナウイルス感染症の病態と密接に関わるものであることから、治療薬の開発にもつながることも期待できるという。

(笹田)

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